15年のきさらぎ賞を制したルージュバック(c)netkeiba
今年で65回目を迎えるきさらぎ賞はクラシックの登竜門として定着している。ここをステップにクラシックウイナーとなった馬は数多く、勝ち馬に限ってもスペシャルウィークやナリタトップロード、ネオユニヴァースなどの名馬が並ぶ。一方で牝馬の勝ち馬は意外に少なく3頭のみ。70年に芝のレースとなって以降では僅かに1頭となっている。今回はそんな貴重な存在であるルージュバックが制した10年前の一戦を振り返る。
ルージュバックは父マンハッタンカフェ、母ジンジャーパンチ、母の父Awesome Againの血統。母は07年のBCディスタフなどG1を6勝し、同年のエクリプス賞最優秀古牝馬に選ばれた名牝だ。2歳9月に新潟でデビュー勝ちを果たすと、2戦目の百日草特別ではレコード勝ち。注目が増す中、3歳の始動戦に選ばれたのがきさらぎ賞だった。
生涯初の1番人気に推された一戦で、ルージュバックは圧巻のパフォーマンスを見せた。五分のスタートから3番手を追走。折り合いはしっかりとついた。迎えた直線、戸崎圭太騎手が仕掛けると反応良く加速する。逃げたネオスターダムをかわすと、あとは独走だ。エアグルーヴの孫となる2番人気のポルトドートウィユ、オルフェーヴルの全弟で3番人気のアッシュゴールドなどのライバルを寄せ付けず、最後は流して2馬身差の楽勝。文句なしの走りで、誰もが認める牝馬クラシックの最有力候補に浮上したのだった。
このレース以降、ルージュバックは王道を突き進んだ。4歳時にエプソムCと毎日王冠、5歳時にオールカマーを制するなど、牡馬を相手に重賞4勝。惜しくもGIタイトルには手が届かなかったが、その悔しさはいつの日か、産駒が晴らしてくれると信じたい。