19年の安田記念を制したインディチャンプ(19年6月撮影、ユーザー提供:べるぞーさん)
今年の新種牡馬もなかなかの豪華ラインナップだ。そんな中、マイル路線で期待を集めるのは
インディチャンプだろう。今年定年となった名伯楽・音無秀孝調教師が手掛けた名マイラーが、GI初制覇を果たした19年の安田記念を振り返る。
インディチャンプは父ステイゴールド、母ウィルパワー、母の父キングカメハメハの血統。祖母は名繁殖牝馬の
トキオリアリティー。叔父には
リアルインパクト、
ネオリアリズムと2頭のG1ウイナーがいる良血馬だった。
デビューから一貫してマイル路線を歩んだ。3歳夏から1000万、1600万、さらには東京新聞杯と3連勝。前哨戦のマイラーズCでは太目残りが堪えて4着に終わったものの、有力馬の1頭として安田記念に駒を進めた。
迎えた春のマイル王決定戦は波乱のスタートとなった。武豊騎手が騎乗した
ロジクライがスタート直後に大きく内にヨレたため、1番人気の
アーモンドアイと2番人気の
ダノンプレミアムが致命的な不利を受けたのだ。対照的に理想的なレースとなったのが、逃げた
アエロリットと先団イン追走の
インディチャンプだった。
直線に向いても
アエロリットの脚色は衰えない。食い下がるのは超伏兵の
グァンチャーレ。その直後から
インディチャンプが迫ってくる。ゴール前で
インディチャンプが
アエロリットをかわして先頭へ。大外から
アーモンドアイも追い上げてきたが及ばない。上位3頭がタイム差なしの大接戦は、福永祐一騎手に導かれた
インディチャンプに凱歌が上がった。
有力馬の不利に助けられての戴冠となった
インディチャンプだが、秋にはマイルCSを完勝。確かな実力を示し、19年のJRA賞最優秀短距離馬に選ばれた。その後もマイル路線で息長く活躍し、名マイラーとして名を残すことになるのであった。