「東海S・G3」(27日、中京)
文句なしの完勝だった。距離が1400メートルに短縮され、開催時期も7月に移った新装・東海S。その新舞台で鮮やかに復活したのが4番人気の
ヤマニンウルスだ。道中は2番手を悠々と追走。直線で堂々と抜け出すと2着
インユアパレスに3馬身半差をつけ、本来の輝きを取り戻した。
導いた名手・武豊は、ゴールの瞬間に小さく拳を握って喜びをかみしめる。「久しぶりにこの馬のパフォーマンスができてすごくうれしい。いい時の感触でしたし、理想の位置も取れました。やっぱりこの馬は走ると改めて思いました」。新馬戦から5連勝でプロキオンS制覇まで駆け上がり“ダートの新怪物”とも呼ばれた逸材が、5歳夏についに目を覚ました。
直近4走は結果が出ず、3走前には芝(小倉大賞典10着)にも挑戦。放牧を挟み、ブリンカーを初装着して再起を図った陣営の工夫がついに実を結んだ。斉藤崇師は「ホッとしました。負けが続いて気持ちもしんどくなっていましたが、休ませてフレッシュになっていた。ブリンカーの効果もあり、返し馬から気持ちが入っていたのが大きい。弟(
ヤマニンアルリフラ)も1200メートルで重賞(北九州記念)を勝ちましたし、1400メートル、ワンターンで気持ちを切らさず運べたのも良かった」と胸をなで下ろした。
もちろん、ここでとどまる器ではない。「これで馬自身も自信を持ってくれたと思いますし、賞金加算も大きい。今後は馬の様子を見て考えたい」と師。桶狭間での華麗な復活劇。ここから再び進撃が始まる。