◆第43回ローズS・G2(9月14日、阪神競馬場・芝1800メートル、良)
秋華賞(10月19日、京都)
トライアルの第43回ローズS・G2は14日、阪神競馬場で行われ、オークス馬の
カムニャックが1番人気に応えて快勝した。この日の阪神2RでJRA通算2200勝を達成した川田将雅騎手(39)=栗東・フリー=は、歴代最多タイの6勝目とした。2着
テレサ、3着
セナスタイルとともに優先出走権を獲得した。
逆境を乗り越えた走りが強さを際立たせた。直線入り口。中団外めを追走していた
カムニャックが内から他馬に接触され、馬上の川田は大きく
バランスを崩した。本来は加速を利かせる場面で訪れたアク
シデント。しかし、集中力も闘争心も途切れなかった。川田の激しい手綱の動きと右ステッキに応えるように、追えば追うほど力強さを増す末脚。大混戦の2着争いに1馬身半差をつけ、樫の女王が貫禄を見せつけた。
川田は「危うく落ちるところまで行くくらいの動き。それでも動けなくなったところから動いてくれて、馬の能力だけで何とか勝ち切れたというところです」と冷静に振り返った。
クイーンズウォークで制した昨年に続いての勝利で、武豊に並ぶ1位タイの6勝目。だが、不利があった相棒の状態を案じ、最後まで笑みを浮かべることはなかった。
秋華賞を見据えた秋の始動戦。収穫は大きかった。今まで後方一辺倒の競馬が多かったが、この日は1000メートル通過が56秒8の速い流れを行きっぷり良く、中団から追走。リズム良く運んで、直線の圧巻のパフォーマンスにつなげた。
「久々のぶん、前向きさがあったと思うし、あれなら内回りの2000メートルでも大丈夫でしょう」と友道調教師。夏場の休養で牡馬のようにたくましさを増した馬体に加え、進化の伝わる走りに自信と手応えは深まった。「今後はしっかりとケアをして、いい状態で次に向かえたらと思います」と川田。重賞3勝は現3歳世代の牝馬で1頭だけ。名実ともに主役として、2冠を狙う大舞台で受けて立つ。(山本 武志)
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カムニャック 父ブラックタイド、母ダンスアミーガ(父サクラバクシンオー)。栗東・友道康夫厩舎所属の牝3歳。北海道千歳市・社台
ファームの生産。通算6戦4勝。総獲得賞金は2億9772万3000円。主な勝ち鞍はフ
ローラS・G2、オークス・G1(以上25年)。馬主は金子真人ホールディングス(株)。