88年の天皇賞(秋)はタマモクロスが制した(88年10月撮影、ユーザー提供:Polarisさん)
80年代後半から90年代前半の中央競馬は芦毛ブームだった。序盤を牽引したのはタマモクロスとオグリキャップの2頭。この両雄が初対決した88年の天皇賞(秋)を振り返る。
この年の秋の盾は2強ムードだった。1番人気は2.1倍で3歳のオグリキャップ。同年春に中央に転入後、
ペガサスS→毎日杯→京都4歳特別→ニュージーランドT→高松宮杯→毎日王冠と重賞6連勝。クラシックは登録がなかったために出走できなかったものの、世代最強の呼び声が上がっていた。そして2番人気が2.6倍で4歳のタマモクロス。こちらは前年秋から重賞5勝を含む7連勝中。春には天皇賞(春)と宝塚記念を制し、古馬最強の座を確固たるものとしていた。
レースは伏兵のレジェンドテイオーが逃げて、前半1000mが59秒4の平均ペースで流れた。南井克巳騎手とタマモクロスは2番手集団で「来るなら来い」といった感じ。対する河内洋騎手とオグリキャップはタマモから3馬身ほど離れた中団で脚をためた。迎えた直線、タマモは内ラチから少し離れたところに進路を取って先頭へ。一方のオグリは外から徐々に内に切れ込みながら前を追う。一騎打ちか。しかしながら、結果はタマモの完勝。オグリに1馬身1/4差をつけてゴールを駆け抜け、年長馬の意地を示してみせた。
実は天皇賞は80年まで「勝ち抜き制」があり、一度勝った馬は以後、出走できなかった。そんなルールの影響もあって、実はこれが史上初の天皇賞春秋制覇。タマモクロスは芦毛対決を制すとともに、天皇賞史に新たな1ページを刻むことになったのだった。