「菊花賞・G1」(26日、京都)
1番人気の
エネルジコが名手に導かれ、クラシック最終戦を制した。クリストフ・ルメール騎手(46)=栗東・フリー=は23年
ドゥレッツァ、24年
アーバンシックに続く勝利で史上初の3連覇、さらに先週の秋華賞(
エンブロイダリー)から2週連続のG1制覇を達成。またこの勝利で11年連続のJRA年間100勝も達成した。2着には2番人気の
エリキング、3着には13番人気の
エキサイトバイオが入った。
“3分間の真剣勝負”-。円熟味を増した手綱さばきが、雨が降り注ぐ淀の夕暮れを熱くさせた。さっそうと先頭でゴールを駆け抜ける
エネルジコ。その馬上でルメールは何度も何度も、熱のこもった
ガッツポーズで喜びをかみしめた。
「信じられないですね。距離が長くとても難しいレース。本当にうれしいです」。同じ勝負服で2週連続の美酒に酔いしれ、前人未到の菊花賞3連覇という偉業も達成した名手は感慨に浸った。
発馬はいつものように遅く、後方からの競馬に。「彼はスタートがあまり得意ではないし、後ろのポジションでと思っていました。長い距離で時間もあるし、1周目は我慢していた」。相棒を信じ、呼吸を合わせながら、じっくりと追走した。
動きだしたのは2周目の2角過ぎ。「突然外のオプションが見えたので、すぐに外に出しました」。外から上がる武豊の
マイユニバースを追い掛けるように、前方へ進出。気合を注入しながら最終コーナーを回り、最後の直線を迎えると、
ドゥラメンテ産駒の愛馬は一気に加速。傑出した瞬発力を発揮し、上がり最速の脚で馬場の真ん中を駆け抜けた。まさに独壇場。「レース前から勝つ自信がありました」と言い切った通り、ラ
イバルたちを寄せ付けない豪快な勝ちっぷりだった。
管理する高柳瑞師は「うれしいです。
トライアルを挟むと間隔が短くなるので新潟記念を選びました。疲れを引きずるタイプなので、より間隔をあけたかった」と安堵(あんど)した。青葉賞を制すも状態が整わず、ダービーへの出走を断念。常に体質の弱さと向き合いながらの調整だったが、「状態を見るとうまくいったのかな」と胸を張った。
「普段のしぐさからは考えられないほど、レースに行くとよく走ってくれます」と、改めてポテンシャルの高さを実感した指揮官。今後については未定だが、「体質の弱さがあるので、そういう部分が成長してくれれば」とさらなる成長に期待を寄せた。馬名の由来はイ
タリア語で『力強く』。同世代のトップへと君臨した今、新たなステージでさらに力強く輝いてみせる。