後に
ジャパンCを制し、種牡馬としても成功を収めるスクリーンヒーローが重賞初制覇を果たしたのが、08年のアルゼンチン共和国杯だった。今年死んだグラスワンダーの血をつなぐ役目も担っている彼の転機となった一戦を振り返る。
スクリーンヒーローは父グラスワンダー、母ランニングヒロイン、母の父サンデーサイレンスの血統。父は98年と99年の有馬記念を連覇するなどGI・4勝を挙げた名馬。そして祖母の
ダイナアクトレスは87年と88年のJRA賞最優秀5歳以上牝馬という良血だった。
2歳秋にデビュー。3歳時にダートで2勝を挙げたものの、ラジオNIKKEI賞が2着、セントライト記念が3着。重賞では善戦止まりだった。ただ、結果的に晩成だったのだろう。約1年の休養を挟み、4歳夏に復帰すると快進撃が始まった。復帰戦の支笏湖特別で待望の3勝目を手にすると、札幌日経オープン、オクトーバーSと連続で2着。ここで陣営はアルゼンチン共和国杯への格上挑戦を決断した。
単勝8.9倍の3番人気に推された一戦、スクリーンヒーローはいつものように好位での競馬を選択した。
セタガヤフラッグと
テイエムプリキュアの伏兵2頭が後続を引き離して運んだが、鞍上の蛯名正義騎手に焦りはない。前との距離を把握した上で、直線に向いてから
ゴーサイン。力強く脚を伸ばすと、残り100mで
テイエムプリキュアをかわして先頭へ。後ろからは人気の2頭、
ジャガーメイルと
アルナスラインが追い上げてきたものの、1馬身半差をつけて余裕のフィニッシュ。堂々たるレース運びで重賞ウイナーの仲間入りを果たしたのだった。
このレースを勝ったことでスクリーンヒーローの勢いは加速し、続く
ジャパンCでGI初制覇を果たした。現役引退後は種牡馬となり、
モーリスや
ゴールドアクター、
ウインマリリンや
ウインカーネリアンといった名馬を輩出。グラスワンダーの貴重な血を後世につなぐことに成功している。