現地時間11月1日(土)に行われるブ
リーダーズカップクラシック(3歳上・米G1・ダ2000m)で上位人気が見込まれる
フォーエバーヤング(牡4、栗東・矢作芳人厩舎)と
シエラレオーネ(
Sierra Leone、牡4、米・C.ブラウン厩舎)。2頭は祖母が同じ“従兄弟”で、祖母ダーリン
マイダーリン(
Darling My Darling)は今年4月7日、28歳でこの世を去った。血統が紡ぐ物語は最高峰の舞台で新たな1ページを刻む。
 ダーリン
マイダーリンは97年に誕生、99年のG1・BCジュヴェ
ナイルフィリーズで5着に入った。その後もリステッド勝利など活躍を重ねて繁殖入りすると、13年に
フォーエバーヤングの母フォエヴァーダーリング、15年に
シエラレオーネの母となるヘヴンリーラヴ(
Heavenly Love)を産んだ。
 同馬を生産したオーナーブリーダーの
デビー・オクスリーさんは「素晴らしい牝馬で、今でもとても恋しいです」としみじみ。わずか20頭ほどの繁殖牝馬で生産、“量より質”を貫くオクスリーさんが携わったなかでも思い出に残る1頭だという。「今年、老衰で彼女を失ってしまいましたが、本当に喜びをくれる存在でした。たくさんの幸せを与えてくれた馬でした」。
 その系譜を継ぐ
シエラレオーネは、オクスリーさんの生産馬。祖母とは異なり所有はせず、ファシグ・ティプトン・サラトガセールに上場されて230万ドルで落札された。「とても
バランスが良く、見栄えのする馬で、牧場にそんな馬がいると“本当は手元に置いておきたい”と思うんです。でも経済的には手放さざるを得ないこともある。だからこそ、あのセールで良い値がついて、素晴らしいオーナーのもとに行けたことをとても嬉しく思いました」。オクスリーさん曰く販売後の行方を分からない馬も少なくないというが、
シエラレオーネには特別な何かを感じ新馬戦から追いかけている。
「初戦のときは“出走できただけでもうれしい”と思っていましたが、その後のキャリアをずっと見てきて、今の彼の活躍を見るのはただただ喜びです。どんなときも一生懸命走る、本当に安定した馬です。勝てないときでも必ず掲示板に載ります。それに、彼を4歳まで現役で走らせてくれたオーナーグループには本当に感謝しています。何度か現地で彼のレースを観ることもでき、特にブルーグラスSを勝ったときは格別でした」
 そんなオクスリーさんの「ダーリン
マイダーリン系譜」に、より一層の輝きを加えたのが
フォーエバーヤング。24年のケンタッキーダービーでは従兄弟
シエラレオーネと激しい“肩のぶつかり合い”を演じて2着・3着を分け合う名勝負を演じた。「活躍してくれて本当にうれしい。彼も同じ血統のファミリーの一員ですから、応援せずにはいられません。ダーリン
マイダーリンがどれほど素晴らしい牝馬だったかを改めて思い出させてくれます」とオクスリーさんのキャリアに彩りを添えている。
 共に参戦することとなったBCクラシック。願いはもちろん2頭の活躍だ。「
シエラレオーネと
フォーエバーヤングがワンツーフィニッシュを決めてくれたら最高ですね」。世界最高峰の戦い。血のドラマも併せて楽しみたい。