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ゴールデンイーグル(11月1日、
オーストラリア・ランドウィック競馬場・芝1500メートル)
     1着賞金525万豪ドル(約5億1060万円)を誇る
ゴールデンイーグルは11月1日、
オーストラリア・ランドウィック競馬場の芝1500メートルで行われる。今年は日本から
パンジャタワーが参戦。深澤朝房オーナーがスポーツ報知のインタビューに応え、馬主としてのこだわり、今後に描くプランなどについて大いに語った。(取材・構成=坂本 達洋)
     ―今回の遠征を決断した経緯を教えてください。
     「もともとNHKマイルCから(3歳馬で出走資格のある)
ゴールデンイーグルへ向かおうと決めていました。その理由は
パンジャタワーにとって、1500メートルがぴったりということからです。馬に合った番組を選ぶにあたって、スプリンターズSで見たかったというファンの方も多かったそうですが、そこは4、5歳になっても出られますからね」
     ―1着賞金525万豪ドル(約5億1060万円)という高額賞金レースで、23年には
オオバンブルマイが勝利と、日本調教馬が結果を残しています。
     「実は去年、東京馬主協会の研修旅行で
オーストラリアに行き、ランドウィック競馬場も下見していました。昨年まで開催されていたローズヒルガーデンズ競馬場と比べてコーナーが回りやすく、直線も長い。それにフルゲートが20頭立てから(日本で経験している)18頭立てになるのもいいです。そして
パンジャタワーの目標は、ちょっと違うところにありまして、今年の3歳馬で1年間の獲得賞金1位を狙っているのです」
     ―そのような視点は気がつきませんでした。
     「私は毎年、目標を作ってやっています。去年は勝率19・2%、連対率38・5%で馬主のなかで一番と言える成績でした。私はどちらかと言うとデータ派で、今年は1走あたりの賞金にこだわることにしました。凱旋門賞よりも
ゴールデンイーグルの方が1着賞金が高く、今年の獲得賞金で
パンジャタワーが
クロワデュノール(4億2166万7600円)を超えることもできるわけです」
     ―
ゴールデンイーグルの
ステップにキーンランドCを選ばれた理由と結果への評価は?
     「これも最初から決めていました。(マイルの)京成杯AHよりも1200メートルを使った方が、
スピードが求められる
オーストラリアの競馬に対応しやすく、右回りや
スピード競馬を経験させるために札幌のス
プリント戦を使いました。結果は楽勝でしたね。松山弘平騎手にはNHKマイルCと同じように『大外一気で乗ってください』と指示を出しました。外に出せさえすれば、勝てる力がある馬ですから」
     ―NHKマイルCは大外一気の鮮やかな勝ちっぷりでした。
     「とにかく距離損があっても大外を回してくださいと伝えて、その通りのレースをしてくれました。栗東・CWコースの1週前追い切りが6ハロン77秒4―11秒1の一番時計で、東京コースも京王杯2歳S・G2で勝っていました。橋口調教師から『(ファルコンSの次は)葵Sでどうですか』と提案されていましたが、G1でも十分に勝算があると考えました。ファルコンS(4着)のような不利がなければ、勝てると思っていました」
     ―豪州へは特別にチャーター機を用意されたとうかがいました。
     「費用は普通の貨物便の約2倍以上かかります。本来なら30時間以上かかる輸送の負担を減らすこと(約10時間に短縮)ができたわけで、馬のためには理にかなったことです。また、チャンピオンヒルズ(滋賀県大津市)に輸出検疫施設(今年9月完成)を作っていただきまして、大変感謝しております。“
パンジャタワー・
ファースト”の考えで、私の理念は要するに馬のためにやるべきことには手を打つということです」
     ―将来的な展望もお聞かせください。
     「来年はサウジアラビアの1351ターフス
プリントを1戦目として考えて、サウジに行かない場合は高松宮記念に行こうと思います。そこから安田記念に向かい、秋はブ
リーダーズCマイルを目標に考えています。全て松山弘平騎手で行く予定です。私は彼に絶対的な信頼を寄せていて、本人からも引退するまで乗せてもらいたいという希望を聞いています。良い結果を期待しています」
     ◆深澤 朝房(ふかさわ・ともふさ)1959年、山梨県生まれ。66歳。2008年にJRAの馬主資格を取得。東京馬主協会常務理事。日本馬主協会連合会(JOA)理事。23年に設立した(株)Deep Creekの代表オーナー。大学入学と同時に不動産を研究し、24歳で創業。現在は株式会社サンフェル代表取締役で、日本で唯一の「不動産
ソムリエ」として活躍する。大相撲の横綱・大の里=二所ノ関=の東京後援会会長も務める。
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ゴールデンイーグル 2019年に創設された高額賞金レース。南半球産の4歳(北半球産は3歳)限定レースで、芝1500メートルで争われる。昨年までローズヒルガーデンズ競馬場で開催されていたが、今年からランドウィック競馬場が舞台に。日本調教馬は23年に
オオバンブルマイが優勝。昨年は
アスコリピチェーノ(12着)と
コラソンビート(20着)が参戦した。重賞の格付けはない。