2004年のエリザベス女王杯は武豊騎手騎乗のアドマイヤグルーヴが勝利
今年のエリザベス女王杯・G1(11月16日、京都競馬場・芝2200メートル)は、どんなドラマが生まれるのか。過去の名勝負・04年の
アドマイヤグルーヴ勝利を振り返る。
牝馬とは思えないタフさが最大の長所だった。ゼンノロブロイの3着だった天皇賞・秋から中1週で参戦。陣営は細心の注意を払って調整し、馬体重は増減なしの464キロで臨んだ。直線半ばから一気に伸びた
アドマイヤグルーヴが連覇を果たし、武豊は自身2度目の同一G14連覇を成し遂げた。逃げた
メイショウバトラーの1000メートル通過は、1分1秒0のスローペース。最後は上がりの勝負になった。4コーナーで7、8番手に位置した
アドマイヤグルーヴは、早めに仕掛けたのが連覇につながった。秋の天皇賞(3着)から中1週というローテーションながら、この強い内容。2着の
オースミハルカは離れた2番手からしぶとく粘ったが、決め手の差で負けた。
このとき、1番人気に押されていたのは史上まれにみる“気まぐれ女王”
スイープトウショウ。屈指の瞬発力を武器に、秋華賞、エリザベス女王杯、宝塚記念のG1を3勝。宝塚記念では05年の有馬記念でディープインパクトを負かしたハーツクライすらも完封するなど歴史的にみても最強クラスの牝馬だが、ゲート難が解消されず、出遅れてリズムに乗れなかった。それでもメンバー最速の33秒2の脚を使ったが、
エルノヴァの後ろで、さらに外を回って5着に終わった。
アドマイヤグルーヴは12年10月に12歳で急死。繁殖牝馬として残した5頭の最後の産駒、
ドゥラメンテが皐月賞、日本ダービーを制して2冠馬となり、
ダイナカール、
エアグルーヴから続く、史上初の母子4代G1制覇を達成。
ドゥラメンテは21年に急死したが、今年の天皇賞・秋を制した
マスカレードボールなど、受け継いだDNAは令和の時代も広がり続ける。