TBS系列で絶賛放送中の日曜劇場『ザ・
ロイヤルファミリー』。実際の競馬関係者や競走馬が登場することもあり、大きな盛り上がりを見せている。そんな話題作の第5話では、「勝負服」に関するトピックがあった。ドラマ内で登場する馬主・山王耕造氏の服色が変更されたが、現実の競馬界ではどのようなルール、運用になっているのだろう。この機会に「勝負服」のあれこれを調べてみた。
そもそも「勝負服」とは、騎手がレースの際に着用する服のこと。正しくは服色(ふくしょく)といい、肌着やプロテクター等の上に着る。観客や馬主はもちろん、裁決委員や実況アナウンサーなど、レースを観るすべての者が、どの馬かすばやく判別するために重要な役割を持つ。
柄や色はなんでも自由に使えるわけではなく、細かい規定が存在する。色は「赤」や「白」など全13種類。胴や袖に入れられる柄は「輪」や「襷(たすき)」など十数種類がある。「襷」は袖に入れられない、胴に「のこぎり歯形」を使用する場合は袖の柄は「輪」でなければならないなどの制約もあり、ルールはなかなか複雑。JRAに現在登録してある勝負服は約2000種類あるといわれ、決まりの中でほかの服色と被ることがないよう、新しいオーナーは頭を悩ませると聞く。
ドラマと同じく、一度決めた色や柄を変更することもできる。ゲン担ぎや相続など、その理由はさまざまあるようだ。例えば、松本好隆氏。以前は「青、桃襷、桃袖青一本輪」の柄を使っていたが、父の松本好雄氏が逝去したことを受け、今年10月から父が使っていた「胴青、桃襷、桃袖」(青一本輪をなくした)に変更している。
以上は中央競馬の決まりであって、地方競馬では事情が異なる。
地方競馬の場合は重賞や新馬戦など一部例外を除き、原則として騎手ごとに定められた服色、いわゆる「騎手服」を着用する。中央競馬では認められていない「橙/オレンジ」の色が使用できたり、愛知の木之前葵騎手は胴に
ハートマークを入れている。また、南関東競馬ではプロ野球の永久欠番にならって、永久保存なる制度も存在。第1号は川崎の佐々木竹見氏で、その後は石崎隆之氏、的場文男氏、森泰斗氏、内田利雄氏が“殿堂入り”。原則として、同じ柄を使用することはできない。
競馬で当たり前の光景となった勝負服の発祥は、18世紀のイギリスともいわれる。実に200年、300年というヒ
ストリー。長きにわたって競馬に彩りを加えてきたのが勝負服。これを機に、ドラマでも実際のレースでも、勝負服の色と柄に注目して視聴、観戦してみてほしい。