05年のマイルCSを制したハットトリック(撮影:高橋正和)
近年のGIには欠かせない存在である(有)キャ
ロットファームは、多くの活躍馬を送り出している。そんな大手クラブ法人の牡馬によるGI初制覇となったのが05年のマイルCS。サンデーサイレンス産駒のハットトリックが豪快な差し切りを決めた一戦を振り返る。
この年のマイルCSには不動の主役がいた。このレースを2連覇中だったデュランダルである。前走のスプリンターズSは負けて強しの2着。単勝1.5倍の圧倒的1番人気も当然といった感じだった。しかし、レースは蓋を開けてみるまで分からない。いつも通り、後方で脚をためたデュランダルだが、直線ではなかなか差を詰められない。かわってグイグイと追い込んできたのが、同じくサンデーサイレンス産駒のハットトリックだった。GI請負人のO.ペリエ騎手に導かれ、大外を強襲。内で押し切りを図るダイワメジャーをゴール手前でハナ差捕らえ、GI初制覇を果たしたのだ。
デビューが3歳5月と遅く、美浦・清水美波厩舎から栗東・角居勝彦厩舎への転厩も経験した異色の血統馬。この勝利は馬主の(有)キャ
ロットファームにとって同年のオークスの
シーザリオに続くGI・2勝目、そして牡馬に限ると初の
ビッグタイトルだった。ハットトリックは続く香港マイルも制覇。現役を退いた後は父サンデーサイレンスの故郷であるアメリカで種牡馬となり、仏米のG1馬を出すなど活躍したのだった。