大一番を迎え、その名のごとく天をつく。透き通った青空の下、チューリップ賞を制した{horse=2007101578:ショウリュウムーン}は、栗東坂路で単走追いを行った。馬場整地直後と蹄跡の少ないチップの上を軽やかに、最初の1Fを15.6秒とゆったりとしたペースで通過。適度に気持ちを表面に表しながら、急こう配を駆け上がる。鞍上の佐藤哲がささる面を矯正しながら、迎えたラスト1F。確かな反応を示し、11.7秒と豪快なフィニッシュ。さらにスピードには磨きがかかった。
全体の時計は4F53.9秒。手綱を取った佐藤哲の表情からも体調の良さがうかがえる。「厩舎サイドが仕上げてくれているので、もうひと工夫、教える意味で乗りました。先生(佐々木師)からはコーナーを回るまではゆっくりと。その延長で太そうなら追っておいてと言われていた。先週、ささるのを修正したことで、いいスピード感に変わっていた」と大一番を前に変化をつかむ。
前走のチューリップ賞で重賞初制覇。連勝でつかんだタイトルに、佐々木師は「まさか勝つとは思わなかった。恵まれた部分も大きかったし、その分かな。びっくりしました。(前走の)ビデオを見ていると、次に変わってきそうな馬がいっぱいいるからね」と笑みを浮かべる。だが、2歳女王アパパネを力でねじ伏せたのは事実。キャリアはまだ4戦、6月7日と遅生まれだけに、その伸びしろも大きい。
師にとって、桜花賞への思いは強い。騎手時代の79年、ホースメンテスコを駆って、不良馬場の決戦を制し初めてのGIを手にした。「ジョッキーとトレーナーと別の立場ではあるが、獲れたらいいと思う」。ふたつ目の勲章を思い描いた。
佐々木師=佐藤哲の名コンビが、初となるクラシック制覇で祝福の桜吹雪を浴びる。
提供:デイリースポーツ