岩田の要望で併せ馬で行われたサダムパテックの最終追い。気合注入を狙った栗東坂路での調教は、驚きの大差先着で幕を閉じた。相手はケイコ駆けする短距離オープン馬エイシンタイガーだ。一気に2頭の差が広がったのは残り1F標識から。岩田がゴーサインを送ると、サダムはグングンと加速。ゴール地点ではその差は5馬身まで広がっていた。
4F51.4秒-37.7秒-13.0秒の全体時計、大差先着の内容に「最後まで食らいついて併せていければと思っていたんです。それが、あれだけ突き放すのだから…」と西園師は驚きを隠せない。「それだけピークの出来ということ。まさにホップステップジャンプです」。弥生賞、皐月賞を経て、究極の仕上げでダービーを迎えられることを胸を張って強調した。
「いつもゲート内でもボーッとしていて出て行かない。落ち着きすぎちゃうかと思って気合を入れたかった」と、併せ馬をオーダーした理由を明かした岩田。「ドッシリして本当にいい状態」と出来に太鼓判を押した。
69年ダイシンボルガードが勝ったダービーをテレビ観戦したことがこの世界に入るきっかけになったと語る西園師。「思い入れの深い特別なレース。この先、これだけの人気馬で挑むことはないかもしれない。与えられたチャンスをモノにしたい」と力を込める。皐月賞の3馬身差が「力負けではない」というのも両者の一致した見解。逆転の確かな手応えを感じとっている。
提供:デイリースポーツ