米国では、5月1日のケンタッキーダービー(米G1・ダート10f)に向け、前哨戦が各地で行われている。
　10日、キーンランド競馬場ではブルーグラスS(米G1)が開催され、ザクリフズエッジ The Cliff's Edge(牡3、父Gulch)が後方一気の鋭い末脚を見せ、ハリウッドフューチュリティーS(米G1)勝馬で圧倒的な１番人気に推されていたライオンハート Lion Heart(牡3、父Tale of the Cat)を直線で捕らえて優勝。ケンタッキーダービーへ向けて中部地区から新たな有力馬が誕生した。昨年11月のケンタッキージョッキークラブS(米G2)で重賞初制覇を果たしたザクリフズエッジは、今季初戦のステークスレースで2着、そして前走のフロリダダービー(米G1・ダート9f)では3着となっていた。同厩舎のユーロシルヴァー Eurosilver(牡3、父Unbridled's Song)が、熱発でダービーを回避することが既に決定し、このブルーグラスSに出走予定だったバードストン Birdstone(牡3、父Grindstone)も血液検査の結果、出走を回避するなど、N.ジトー厩舎にとって明るい話題の少なかった3歳世代だけに、「ザクリフズエッジは厩舎の救世主だ」とジトー調教師は語った。

　アケダクト競馬場では10日、ウッドメモリアルS(米G1・ダート9f)が開催。最後方から豪快に伸びてきた4番人気のタピット Tapit(牡3、父Pulpit)が、マスターデイヴィッド Master David(牡3、父Grand Slam)をゴール前できっちりと捕らえて半馬身差でゴール。G1レース初優勝を果たした。昨年10月のメイドンレースで、7.3/4馬身差圧勝という鮮烈なデビューを果たしたタピットは、続くローレルフューチュリティー(米G3)で連勝。しかし、今季初戦のフロリダダービーでは6着に敗れていた。また、本命視されていたフロリダダービー2着のヴァリュープラス Value Plus(牡3、父Unbridled's Song)は、直線で伸びずに6着に敗退。

　オークローンパークでは10日、アーカンソーダービー(米G2・ダート9f)が開催され、1番人気スマーティージョーンズ Smarty Jones(牡3、父Elusive Quality)が、重馬場のダートコースで、直線入り口で早くも後続に3馬身の差をつけると、最後は2着ボレゴ Borrego(牡3、父El Prado)を1.1/2馬身差退けて快勝。デビュー以来無傷の6連勝を果たした。デビュー戦を圧勝したスマーティージョーンズは、そのわずか13日後のステークスレースで、後続に15馬身差をつけて力の強さを見せ、今季初戦のカウントフリートS、続くサウスウェストSでも圧勝劇を見せた後、前走のレベルS(米G3・ダート8.5f)にも快勝。ケンタッキーダービーの有力馬に大きく浮上した。