美浦Pで横山典を背に猛時計をマークしたサクラゴスペル
吹き荒れる強風を切り裂いて行く。横山典を背に美浦Pで追われたサクラゴスペル。僚馬と馬場入りを行ったが「併せるかどうかは馬の雰囲気次第と言われていた。ポリトラックではテンションが上がる。そんな雰囲気じゃなかったから」と判断した鞍上は、単走で気分良く走らせることに主眼を置いた。
序盤からハイラップを刻み、馬なりのまま5F62秒7−37秒6−11秒8の好時計をマーク。併せ馬うんぬんよりも、躍動感のある動きに主戦は満足げな表情を見せた。「順調に来たね。前走時は返し馬の時からピンと来なかったんだ。1回使って良かった」と休み明けの朱鷺S(2着)を叩いた上積みを実感する。
秘策を携えてGI獲りに挑む。フワフワする面を解消するため今回はブリンカーを初装着。先週の追い切りでは既に、この馬具の“試運転”を済ませている。「前々から考えていた。でも着けると行き過ぎる可能性がある」と横山典は言う。マイルの距離にも対応できるように、あえてこれまでは封印した一手。「やるならここかなと」。先々を見据えず、この一戦に全てを注ぎ込む。
尾関師も戦略的に事を運んできた。「本番が楽に感じられるように、朱鷺Sを始動戦にした」と異例のローテを選択。長距離輸送に弱いこの馬の特性、苦手な夏場、58→57キロと軽くなる斤量面に目を付け、新潟のオープン特別に出走。厳しい状況を経験したゴスペルにとって、GIのハードルを下がったに違いない。
「年齢的にもここが勝負。勝ちたい」と締めたトレーナー。今年のオーシャンSを含めて、過去2戦2勝の中山芝6F戦。得意舞台で陣営の執念が結実する。
提供:デイリースポーツ