12月18日(日)に阪神競馬場で行われる第68回朝日杯フューチュリティステークス(GI)に登録をしている
トラスト(牡2、栗東・中村均厩舎)について、追い切り後の中村均調教師のコメントは以下の通り。
(前走の東京スポーツ杯2歳Sを振り返って)
「スタートは非常に良かったので、ハナに行くかなと思ったのですが、少し下げて2番手という競馬になりました。逆に良いスタートを切ったために2番手の競馬で前の馬を追いかけて、さらに前の馬を抜こうという気持ちが早って、前半力んで引っ掛かり気味で走っていました。あと1ハロンというところで止まってしまいました。
力がある馬なので粘りましたが、レースとしてはちぐはぐで完敗でした。
私もはっきりとこの馬の性格、適性などを十分掴みきっていませんでした。いろいろ過去のレースビデオを見て、だいたい性格は分かっているつもりでいたのですが、レースでここまで激しい気性を出すとは思わなかったです。上手くいかなかったですね。
中間の調教は落ち着いてきましたし、どういうふうにしたら
テンションが上がるか、落ち着くかというのをだんだん掴み始めたところです。今度のレースでそれを生かしてみたいです」
(調教過程を振り返って)
「併せ馬の相手を前に行かせてその後ろから、レースの時に壁を作るような形の調教でした。2、3馬身後ろからピタッと真後ろから行って、折り合いをつけさせるというような練習もずいぶんやってきました。調教ではこれで完璧だと思います。おそらく今回のレースはかなり速い馬がたくさんいますので、先頭を切って行くという競馬にはならないと思います。やはり馬の後ろで折り合いをつけなければいけないというところに専念しながら調教を進めてきました。
今日はその通りに追い切りをしました。最後で前の馬に並びかけるという調教もだいたい予定通りでした。何よりも、一回使って馬がずいぶん落ち着いていますので、普段の飼い葉食いも非常に良いし、運動でもバタつくところがありません。非常に良い体になっています。今度は前回よりもさらに上向いた状態で臨めるのではないでしょうか。
前走は決して太いというわけではなかったのですが、全体的にまだ緩いような感じがしました。今回は馬体重がそんなに変わらずに体がグッと締まってきているというか、丸みはありますが、かなり筋肉が絞られてきているので、かなり走れるモードにはなっていると思います。
心肺機能は違いますし、筋肉の鍛えられ方も違うので上昇しているのではないでしょうか」
(今回のレースに向けて)
「逃げ馬とか、あるいは先行するペースの速い馬がたくさんいるので、さらにそれらの先を行って、阪神1600mを逃げ切るというのは、至難の業だと思います。やはり速い馬は先に行ってもらって、じっくり折り合いをつけながら直線に向いてからの勝負という形に持ち込むのが理想です。
(
ミスエルテは)ビデオを見せてもらいましたが、なかなか良い、終いの切れ味をしています。これはすごい強敵だなと思います。
トラストは先行力がありますし、終いの切れ味もありますし、いろいろな競馬ができると思います。ジョッキーが思い通りに乗れた時にはかなり力を発揮すると思います。
うちの厩舎に転厩してくれたということ自体が信頼してくれているというか、
トラストは信頼という意味らしいので、そういうことも含めて、うちに預けてくれたのかなということで、力強い信頼関係を再認識しました。
この方(岡田繁幸氏)とは40年ぐらいのお付き合いなので、もうお互いに気持ちは知り尽くしています。何も言わなくても、オーナーの気持ちは伝わってきます。
今から20年ぐらい前でしょうか、岡田オーナーの馬でマイネルマックスという馬が朝日杯を勝たせてもらいました。それ以来で、あの時を思い浮かべながら、再度またGI競走を岡田さんと勝ってみたいなという気持ちは持っています」
(取材:米田元気)