今週から中山競馬場、阪神競馬場に開催が替わっての秋競馬。昨年の阪神開幕週を振り返ると、初日の芝1600mに弥生賞を勝ったカデナ、2日目の芝2000mに共同通信杯を勝ったスワーヴリチャードが出走して、いずれも2着。

　前者はクビ差、後者はハナ差という接戦で負けてしまったが、後に重賞を勝っているのだから、やはりこの開催でデビューしてくる馬は素質馬が多い。特に今年は「○○の下」のデビューが目立つだけに、どんな走りを見せてくれるか注目したい。

【9月9日(土)　阪神芝1600m】

◆スターリーステージ(牝、父ディープインパクト、母スターアイル、栗東・音無秀孝厩舎)

　全兄は同厩舎で管理され、NHKマイルC、マイルCSといったマイルG1を制覇したミッキーアイル。本馬は6月に栗東へ入厩してゲート試験に合格した後、一旦放牧に出されて、8月9日に再入厩している。

　馬のタイプについては「こちらの方がストライドの大きな走りをしているので、距離に融通が利きそう」と音無秀孝調教師。だからといって、スピードが足りないわけではない。8月30日の栗東坂路での追い切りは4F52.4秒の時計を馬なりでマーク。新馬としてはトップレベルのスピードある動きを見せている。鞍上は福永祐一騎手が予定されている。

◆サンライズカナロア(牡、父ロードカナロア、母ストリートスタイル、栗東・安田隆行厩舎)

　今年の新種牡馬としては、先週の札幌2歳Sでオルフェーヴル産駒が初重賞制覇。少し遅れをとった感はあるものの、ロードカナロア産駒もオープン特別の勝ち馬を出しており、決して負けていない。

　安田隆行厩舎のロードカナロア産駒といえば、トロワゼトワルが新馬勝ち、先週デビューしたダノンスマッシュが2着。この2頭に優るとも劣らない動きを見せている。血統的にもおばに2009年ローズSを勝ったブロードストリート(父アグネスタキオン)がいる良血。8月31日の栗東坂路では古馬500万下を追いかけて、馬なりで先着。その時計は4F52.8秒ですから、1週前追い切りとしても申し分なし。あとは実戦でどんな走りを見せてくれるか。鞍上は北村友一騎手が予定されている。

【9月10日(日)　阪神芝2000m】

◆シルヴァンシャー(牡、父ディープインパクト、母アゼリ、栗東・池江泰寿厩舎)

　全兄に2013年セレクトセール当歳にて、2億4000万円で落札されたロイカバードがいる血統。先週の新潟記念では8着だったが、これまで芝で4勝を挙げており、これからも活躍が期待される馬。netkeiba.comの指名馬ランキングでも9月3日19時時点で11位と競馬ファンの期待も大きい。

　ただ、栗東での追い切りは今ひとつ動けていないというのが個人的な見解。8月24日のCWでは3歳未勝利に先行して最後は一杯に追うも楽な手応えの相手に追いつかれた。そして、8月31日のCWではサトノクロニクルを追いかけて、なんとか追いついた感じ。もちろん先週は相手が3歳オープンなので、追いついただけでも評価できる。ただ、注目度や期待度を考えると、もっと動いてもと思ってしまう。あとは最終追い切りでどんな動きを見せてくれるかだろう。

【9月10日(日)　阪神芝1400m(牝)】

◆デルニエオール(牝、父ステイゴールド、母オリエンタルアート、栗東・池江泰寿厩舎)

　全兄オルフェーヴルは現役時代は2011年に牡馬三冠、凱旋門賞は2年連続2着という実績を残し、種牡馬としては初年度産駒から重賞勝ち馬が出る活躍を見せている。ちなみに全姉には先週の3歳未勝利戦で8着だったオルファン。どちらも池江泰寿厩舎で管理されている。

　本馬は6月23日にゲート試験に合格した後、一旦放牧に出されており、8月18日にノーザンFしがらきから再入厩。8月23日のCWでの4F追い切りでは軽快な動きを見せた。同じくCWでの6F追い切りとなった8月30日はユイフィーユを追走して最後はなんとか追いついてゴール。追い切り本数が少ない割には動けている印象もあるが、調教だけを見ていると初戦からというイメージも沸きにくいだけに、そのあたりは素質でどこまで走ってくるかといった感じ。

(取材・写真:井内利彰)