春のダメージを引きずることなく、ふっくらした体を取り戻したファンディーナ(撮影:花岡貴子)
この春、ファンディーナがフラワーCを勝った後、勝利に導いた岩田騎手をはじめ高野先生、厩舎の皆さんは歓喜にあふれていました。
あのとき、岩田さんにファンディーナはGIを勝てる器?と聞いたとき、
「もちろん」
と即答。そして、そのときの岩田さんの穏やかな満面の笑みがいまだに忘れられずにいます。
そのあと、皐月賞というあえて厳しいチャレンジに挑んだファンディーナ。牡馬との対決もですが、輸送が続いたことが響いたのでしょう。皐月賞から戻ってきたあと、栗東で見た彼女はげっそりしていて、彼女がどれだけ頑張ってきたのかを物語っていました。
そして秋、ふっくらした体を取り戻したファンディーナ。今のところ春のダメージを引きずることなく、秋華賞に向けて無事調教を重ねています。
水曜のCWでの追い切りを終え、高野師はひと安心という表情で話していました。
「CWで長めから動かしてラストでしっかり負荷をかけられました。ラストはもうちょっと沈んでもいいかな、とは思いましたが、終いグッとくる感じで態勢は整いましたね」
前走のローズSでは、4コーナーを向いたときは「おっ」と思ったという高野師。一般的に大型馬は調教だけでは仕上がりきれないケースが多く、競馬を使いながら目標に向かうことが多いのですが、ファンディーナも例に漏れないようです。
「競馬はMAXに負荷がかかる舞台ですからね。レースを使って状態は上向いています」
秋華賞の舞台は京都の芝2000m、内回り。高野師は2014年にショウナンパンドラで制していますね。それだけに、高野師なりの秋華賞の分析パターンがあるのか、と思いきやそうではないようです。
「秋華賞は他のレースに比べて独特な流れになるイメージがあります。強い先行馬が揃うとかなりのハイペースになる年もありますしね。過去3年を見ていても全然流れが違いますね。実に難しいんですよ」と首をひねるのです。
しかも、今年は雨予報でもあります。「どういう流れになるのか…。難しいですね」と高野師は首をひねり続けます。
では、道悪そのものはどうでしょう?
「こなすと思います。それに、大型馬でただでさえ脚元に負担がかかりやすいので、少し馬場が湿ってくれたほうが馬のためにもいいでしょう」
でもまぁ、ファンディーナなら前からの競馬はもちろん、後方からも上手に走ってきそうな気がします。
「たしかに。後ろからの競馬もできそうなんですけど、それが独特な秋華賞というレースでどう嵌るかですね。でも、きっと岩田さんはイメージがあると思います。百戦錬磨ですからね。レースについては、任せようと思います」
(取材・写真:花岡貴子)