先週、以前に当欄で紹介したラッキーライラック(栗東・松永幹夫厩舎)がアルテミスSを勝って重賞制覇。今年が初年度産駒となるオルフェーヴルが2頭目の重賞ウイナーを送り出したことになる。札幌2歳Sを制したロックディスタウン(美浦・二ノ宮敬宇厩舎)も牝馬だという点は興味深い。

　同じく今年が初年度産駒のロードカナロアはステルヴィオ(美浦・木村哲也厩舎)、ダノンスマッシュ(栗東・安田隆行厩舎)とオープン特別を勝った2頭が牡馬。このあたり、種牡馬によって性別で成績差があるところはなかなか興味深い。

【11月3日(祝・金)　京都芝1600m】

◆ドラグーンシチー(牡、父ロードカナロア、母メイショウアンデス、栗東・北出成人厩舎)

　きょうだいはJRAで勝ち鞍を挙げていないが、父は今年が初年度産駒となるロードカナロア。その勝ち上がり率は相当なものだが、総じて素直な気性でありながら、しっかりとスピードがある動きを見せる特徴がある。本馬に関しても、走るロードカナロアに見られる特徴が随所にある。

　担当する竹邑厩務員は「同じブロックに安田隆行厩舎があるので、ロードカナロアは現役時代によく見ていました。だから分かるんだけど、よく似ていますよ」と入厩当初から評価。10月18日の栗東坂路では4F52.9秒、1F12.4秒と動いたが、10月25日のCWコースではレースでも騎乗する和田竜二騎手が跨って、古馬を追走する併せ馬に先着。6F81.0秒は素晴らしい時計だし、追ってからの伸びも力強い。あとはこれを実戦でも発揮できるかどうかだろう。

【11月5日(日)　京都芝2000m】

◆ユーキャンスマイル(牡、父キングカメハメハ、母ムードインディゴ、栗東・友道康夫厩舎)

　母ムードインディゴ、その初仔カリビアンブルーはどちらも友道康夫厩舎で管理されていたが「カリビアンブルーはデビューが年明けだったように体質的に弱さがありました。それと比較すると、牡馬ということもあって、体は逞しいし、現時点で気になるところはありません」と友道康夫調教師。

　実際、追い切りでの動きは調教開始当初から目立っており、特に10月26日のCWコースでの動きが素晴らしい。レースで騎乗予定の武豊騎手が跨っての3頭併せだったが、隊列の真ん中の位置で道中を進めて、後ろから追ってくるサラトガスピリットを抜かさせない。6F80.9秒という数字は文句ないし、ここまでの調教量も申し分ない。現2歳世代も有力馬が多い厩舎だが、その中の1頭に入るようなパフォーマンスを見せてくれるはず。

【11月5日(日)　京都芝1400m】

◆タムロムーン(牡、父アドマイヤムーン、母クスノステファニー、栗東・西園正都厩舎)

　母系には芝で2勝、ダートで2勝を挙げたツクバホクトオー(父フジキセキ)がいる血統で、父はアドマイヤムーン。アドマイヤムーン産駒といえば、日本で最も活躍したのは2013年セントウルSなど芝で7勝を挙げたハクサンムーンがいる。そう、本馬と同じ西園正都厩舎で管理されていた。

　ハクサンムーンはデビューから栗東坂路で破格の時計をマークしていたが、この馬もそんな気配がある。10月18日の追い切りでは坂路4F53.0秒だったが、10月25日の追い切りでは4F51.2秒。この日の馬場差を考えても、2歳新馬としては破格の数字。この流れなら最終追い切りでもある程度の時計は出るだろうし、レースでどんなスピードを発揮してくれるか楽しみ。鞍上は川田将雅騎手が予定されている。

【11月5日(日)　東京芝1400m(牝)】

◆タガノエルフ(牝、父キンシャサノキセキ、母タガノレヴェントン、栗東・安田隆行厩舎)

　半兄は2016年武蔵野Sをレコード勝ちしたタガノトネール(父ケイムホーム)、半姉にダートで3勝を挙げ、今週のJBCレディスクラシックに出走予定のタガノヴェローナ(父クロフネ)がいる血統。

　本馬はゲート試験に合格した後、一旦放牧に出されており、10月11日に宇治田原優駿Sから栗東へ入厩。ここまで順調に追い切りを消化しているが「さすがきょうだいが活躍する血統ということもあって、素質の高さを感じます」と安田隆行調教師。10月26日のCWコースではレースで騎乗予定の北村友一騎手が跨った3頭併せ。一番後ろから追走して、最後はきっちり前を捕まえる動き。そのラスト1Fは11.7秒と伸びており、スピード能力は相当なものがありそう。

(取材・写真：井内利彰)