池江泰郎氏「ダービーを優勝したときの感激は今も体に染みこんでおります」/東京競馬場・ディープインパクト展

2017年10月31日 13:15

トークショーでは約500名のファンがディープインパクトの秘話を聞きに集まった(撮影:花岡貴子)

 東京競馬場内にある競馬博物館の1階ギャラリーにて、10月7日より秋季企画展「前略ディープインパクト様 関係者からDEEPへの手紙」が開催されている。武豊騎手など全11名からの手紙と、手紙の執筆者それぞれの方々から寄せられたディープインパクトにまつわる品々等を展示がされている貴重な催しだ。

 そして、この催しを記念して10月29日に競走馬時代に管理していた池江泰郎元調教師、育成時代の厩舎長を務めたノーザンファーム早来の横手裕二さんによるトークショーが鈴木淑子さんの司会で行われた。このイベントを見ようと、会場は多数の立ち見客も含めて約500名のファンがディープインパクトの秘話を聞きに集まった。その様子をごく一部だが、お伝えしたい。

 横手さんは1歳時のディープインパクトについて「第一印象は小さくてかわいい馬だな、と思ったくらい」だったそうで、ここまでの活躍は想像できなかったそうだ。「幼少期からキタサンブラックの父にあたる兄のブラックタイドのほうが見栄えもよく、目立っていた」こともあり、余計に印象が薄かったという。

 担当した伊津野さんは乗馬で国体に出るほど優秀な女性だった。

「すごく神経質で体が小さかったのであたりが柔らかく少しでも体重の軽い女の子がいいと思い、彼女に乗ってもらいました」(横手さん)

 もちろん、伊津野貴子さんからの手紙からも展示されている。

 池江泰郎厩舎では入厩後、じっくりと乗り込まれて12月19日にデビューした。

「馬体は小さいですが、心臓をはじめ内臓が他の馬より大きいんです。心肺機能が優れているから菊花賞で3000mを走った後もすぐに息が戻ったんですよ」

 皐月賞ではスタートでバランスを崩して出遅れ。「落馬寸前でした。レース中もハラハラしましたが、脚を痛めていないかをとても心配しました。そして無事を確認した後、これで勝ったのだから次はもう少し楽な競馬が出来るだろう、と思ったんですよ」

 続く日本ダービーでは抜け出してから更に後続を引き離した。「ド真ん中を1頭で抜けた凄い競馬でした。ホースマンとしてダービーは一番とりたいレースでしたから」

 表彰台に立った時には「これは夢じゃないか」と思ったほど気持ちが高揚し、お尻をつねって現実を確認したそうだ。

「それだけダービーというのは偉大なレースなんです。出走するだけでも大変なのに、優勝ができたなんてラッキーだったと思っています。ダービーを優勝したときの感激は今も体に染みこんでおります」

 このように関係者のディープインパクトと共に歩んだ時の想いは今もなお熱く燃えている。ファンの皆さんから寄せられた数多くの手紙も続々と増えており、その想いは展示終了の11月26日まで日々重ねられていく。

(取材・写真:花岡貴子)

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