まだ緩いところがありつつも、水準以上の動きをみせているアメリカンウェイク(撮影:井内利彰)
2016年の3回中京5日目芝1600mのメイクデビューを勝ったのはアメリカズカップ(栗東・音無秀孝厩舎)。翌年のきさらぎ賞ではサトノアーサーやダンビュライトを負かして重賞初制覇となったが、中京デビュー組は芝2000mだけでなく、マイル組にも要注目だろう。
【7月14日(土) 中京芝1400m(牝)】
◆ラミエル(牝、父ジャスタウェイ、母カストリア、栗東・橋口慎介厩舎)
2013年北九州記念を勝った半兄ツルマルレオンは橋口慎介調教師の父、橋口弘次郎元調教師が管理していた。ツルマルレオンの父がハーツクライで、本馬の父はハーツクライ産駒のジャスタウェイ。競馬がブラッドスポーツであることは馬だけでなく、人にも関係していることがよく分かる。
本馬については「シュウジ(父キンシャサノキセキ)に似て、やればいくらでも時計が出そうなタイプ」と師。これは6月13日の栗東坂路で4F53.2秒を馬なりでマークしている点からもよく分かる。その後はCWコースでの併せ馬を中心に行っているが、併せ馬でしっかりと負荷をかけられている。なお鞍上は松山弘平騎手が予定されている。
◆ウインアミーリア(牝、父ワークフォース、母プリティプリンセス、栗東・宮本博厩舎)
おじは現役時代にスプリンターズS制覇、マイルCS連覇、父としてはオークスを優勝したエリンコートなどの産駒がいるデュランダル(父サンデーサイレンス)。本馬のきょうだいに目立った活躍馬はいないが、いつ爆発しても不思議ない血統背景はある。
先々週までの時点では、正直目立つような動きは見せていなかったが、7月4日のCWコースではスピード感十分。レースでも騎乗する高倉稜騎手が跨って、4F51.2秒をマーク。この動きが実戦でも発揮できるようなら楽しみ。
【7月15日(日) 中京芝1600m】
◆アメリカンウェイク(牝、父ハーツクライ、母アナアメリカーナ、栗東・斉藤崇史厩舎)
半兄に小倉芝1200mで新馬勝ちし、福島2歳Sを制したメイソンジュニア(父Mayson)がいるが「気持ちがのんびりしたタイプで、いかにも2歳馬らしいといった感じなので、兄とはタイプが違うと思います」と斉藤崇史調教師。4月14日にノーザンF早来から栗東へ入厩して、ゲート試験に合格した段階で一度放牧へ出されている。
6月15日にノーザンFしがらきから帰厩して、その後はCWコースでの追い切りを中心に負荷をかけている。7月4日はレースでも騎乗予定の福永祐一騎手が跨って、CWコースでの併せ馬。古馬500万下を追いかけたが、楽に追いついて、6F81.5秒、1F12.2秒と水準以上の動きを見せている。
ただ「ジョッキーに感触を確かめてもらいましたが、まだ緩いところがあるようですね」と同師。それでいてこれだけ動けるのだから、現状でどんなパフォーマンスを見せてくれるか、その結果次第では当然、大舞台も意識できるような存在になるはず。
◆プロム(牝、父ワークフォース、母レインダンス、栗東・宮徹厩舎)
母はダイワスカーレットが勝った秋華賞で2着したレインダンス。この時は3着ウオッカに先着しており、重賞勝ちこそないが、存在感を示す走りを見せていた。宮徹厩舎は母の現役時代を管理した厩舎であり、その関係もあってか、本馬のきょうだいも2頭管理していたが「レインダンスの仔では一番いい」と宮徹調教師は手応えを感じている。
7月5日の栗東坂路ではレースで騎乗予定の幸英明騎手が跨っての併せ馬。相手のブリングイットオンも今週デビュー予定なので、ビッシリと併せていったが、最後はこちらが少しだけ見劣る感じ。とはいっても、4F53.3秒、1F12.4秒の時計は優秀。大雨の影響でたっぷりと水分を含むウッドチップだったことを考慮すれば、かなり評価できる数字といってよい。
(取材・文:井内利彰)