菊花賞の週になると思い出すのが、2008年10月26日のメイクデビュー京都(芝1800m)。勝ったアンライバルドは皐月賞、2着リーチザクラウンはきさらぎ賞を勝って、日本ダービーは2着。4着スリーロールスは菊花賞を勝ち、この年の牡馬クラシックで大活躍している。

　そして、3着だったブエナビスタはこの後、5連勝で桜花賞、オークスを制した。古馬になってからも牡馬相手に天皇賞・秋、ジャパンCを制しており、まさに「伝説の新馬戦」という呼ばれにふさわしい活躍馬が出た。今年も注目馬が出走を予定する芝1800mだが、後に呼び名が付けられるくらいの活躍馬が出てくるだろうか。

【10月20日(土)　京都芝1400m(牝)】

◆ティレニア(牝、父ジャスタウェイ、母アマルフィターナ、栗東・高橋亮厩舎)
　今年の新種牡馬、ジャスタウェイ産駒ということで注目できるが、それ以上に素晴らしい母系。ヒシアマゾン、アドマイヤムーン、スリープレスナイトといったG1ホースの名がズラリと並ぶ良血で、半兄ガゼボ(父ダイワメジャー)は芝で2勝を挙げている。

　スピードのある血統というイメージだが、本馬もまさにそれ。10月12日にレースでも騎乗予定の浜中俊騎手が跨って、DPでの追い切り。新馬との併せ馬を外から少し追いかける形だったが、手応えは終始楽。5F69.6秒という全体時計からだと、どこかスピードある動きとイメージできないと思うが、ラスト1Fが11.4秒で、ジョッキーが少し手綱を譲っただけで即座にスピードに乗ることができる反応が素晴らしい。ここは初戦から結果を求めたいところ。

【10月21日(日)　京都芝1200m】

◆ワールドウォッチ(牡、父Iffraaj、母Baldovina、栗東・藤岡健一厩舎)

　おばにフィリーズRなど重賞4勝を挙げたワンカラット(父ファルブラヴ)、桜花賞を制したジュエラー(父ヴィクトワールピサ)がおり、いとこには関屋記念、京成杯AHと2着が続いて重賞制覇まであと一歩のところまできているワントゥワン(父ディープインパクト)。みな、藤岡健一厩舎で管理されており、厩舎ゆかりの血統といってよいだろう。

　本馬は夏に栗東へ入厩したが、暑さもあってか、思ったような動きが出来ず、一旦放牧へ出された。その後は「牧場での動きが良くなったので、連れて帰ってきました」と藤岡健一調教師。再入厩後は追い切りだけでなく、普段の動きも雰囲気が出てきた。10月5日にゲートから時計を出し、距離への対応を考慮した調教内容も消化しており、あとは最終追い切りでもう少し動いてくれればといったところ。鞍上はJ.モレイラ騎手が予定されている。

【10月21日(日)　京都芝1800m】

◆ワールドプレミア(牡、父ディープインパクト、母マンデラ、栗東・友道康夫厩舎)

　冒頭に記したアンライバルドを管理する友道康夫厩舎の期待馬。それは2016年セレクトセール当歳にて、2億5920万円という超高値で落札されたことからもよく分かる。全兄ワールドエースはきさらぎ賞、マイラーズCを勝っている。

　本馬は函館競馬場でゲート試験に合格した後、一旦牧場へ戻って、8月31日にノーザンFしがらきから栗東へ入厩。最初はCWと坂路で15-15を積み重ねた入念な調教。9月下旬から少しずつ負荷を強め、10月3日の芝馬場では古馬500万下と併せて、きっちり先着する動きを見せた。10月11日の坂路では古馬1600万下のジュンスパーヒカルを追いかけて、最後は相手を突き放す動き。4F52.9秒、1F12.8秒という時計も評価できるが、それ以上に力強い走りが印象的だった。鞍上は武豊騎手が予定されている。

◆エスポワール(牝、父オルフェーヴル、母スカーレット、栗東・中竹和也厩舎)

　半姉に芝で4勝を挙げたイサベル(父ディープインパクト)、半兄に青葉賞を勝ち、日本ダービーでは1番人気に支持されたアドミラブル(父ディープインパクト)。母系にはフサイチコンコルド、リンカーン、ヴィクトリーといった活躍馬がいる血統でもある。

　本馬は7月27日のゲート試験合格後に一旦放牧へ出され、9月21日にノーザンF天栄から栗東へ帰厩。10月11日のCWではレースでも騎乗予定のM.デムーロ騎手が跨っての併せ馬だったが、古馬1000万下のクリアザトラックを追いかけて最後は同入。時計は平凡だったが、最後までしっかりと走れていた。ここまで順調にきているだけに、あとは実戦でどこまでの能力を見せてくれるかだろう。

(取材・文：井内利彰)