今年の天皇賞(秋)に特別登録したのは15頭。ワグネリアンがすでに回避を表明、中1週となるディアドラも回避が濃厚で、13頭立てにとどまる公算が大きい。しかし、その13頭のなかでGI勝ち馬は7頭。それ以外にGII勝ち馬も3頭と、さすがに天皇賞らしい豪華なメンバーが揃った。
1.スピード競馬に対応できるか
昨年は超のつく不良馬場になったが、勝ったキタサンブラックは芝1800mではスプリングSを含めて2戦2勝で、距離短縮に対応できる素地はあった。一昨年の勝ち馬は近年最強マイラーのモーリスで、2着も安田記念から直行したリアルスティール。2015年の勝ち馬ラブリーデイはその年の中山金杯をレコード勝ち、2着のステファノスはマイルの富士S勝ち馬だ。良馬場で行われた近年の天皇賞(秋)は、スピード競馬への対応能力が問われる結果になっている。
2.休み明けは割引が必要
以降のGI戦線を睨んで、春以来の久々で臨む馬が少なくないが、3か月以上の休み明けでここを制したのは、最近10年間ではキタサンブラックとブエナビスタの2頭のみ。それ以前ではメイショウサムソン、シンボリクリスエスがいるが、いずれもその時点でGIを複数勝っていた年度代表クラスの馬だった。
3.毎日王冠は負けるが勝ち
過去10年で毎日王冠の勝ち馬が秋の天皇賞に出走したことは8回あるが、連勝したのは2008年のカンパニーただ一頭。人気以上の着順に走ったのもカンパニーだけだ。2012年のエイシンフラッシュ、2013年のジャスタウェイ、2014年のスピルバーグは、いずれも毎日王冠の敗戦から巻き返して天皇賞を勝利している。中2週と間隔が詰まっていて連続好走が難しいローテーションでもあり、負けた組の巻き返しに妙味がある。
キセキは菊花賞の勝ち馬だが、祖母が快速馬ロンドンブリッジということもあって、本質はステイヤーではなかったのだろう。毎日王冠では春に見せた折り合い面の難点は微塵も見せずに3着。1分44秒台の走破時計も優秀だ。芝2000mで2戦2勝という実績が示すとおり、距離延長は間違いなくプラスで、前走で58kgを背負っていたことも強調できる。