今年は京都競馬場で行われるJBC。クラシックは本命サイドの決着というイメージも強いが、京都コースでも堅く収まるのだろうか。船橋で開催された2010年は、単勝オッズ16.1倍の4番人気馬が勝利した。「JBC王者列伝」、今回は
スマートファルコンをお届けする。
■快速馬が自分の
スタイルを貫き連覇を果たす
スマートファルコンがダート路線へ戻ってきたのは皐月賞敗戦後の3歳夏、ジャパンダートダービーだった。ここでは
スマートファルコンと同様、ダービーからダートへ戻ってきた
サクセスブロッケンがいた。結果は2着だったが、次走の古馬混合戦(小倉・KBC杯)で勝利すると、続く金沢の白山大賞典で重賞初制覇、父ゴールドアリュールにとって交流重賞初勝利となった。
3戦3連対で臨んだ2008年のJBCは、ス
プリントに3番人気で参戦する。逃げる2番人気の
バンブーエールを最後まで捕らえられなかったものの1馬身差の2着で、1番人気の
ブルーコンコルドには先着した。その後、彩の国浦和記念を7馬身差で圧勝すると、翌2009年のさきたま杯まで重賞を6連勝、各地の交流重賞でその名を轟かせる。
念願のGI制覇は2010年のJBCクラシック(船橋1800m)だった。このときの
スマートファルコンは帝王賞6着、日本テレビ盃3着という臨戦過程で4番人気。ラ
イバルはその帝王賞と日本テレビ盃を制した地方の雄・
フリオーソである。レースは迷うことなくハナを奪った
スマートファルコンが、直線もそのままの勢いで後続を突き放した。
フリオーソに7馬身差をつける圧勝で重賞11勝目を初GIで飾った。この後、東京大賞典ではダート2000mの日本レコードを樹立する。
2011年も、
スマートファルコンの快進撃は留まるところを知らなかった。ダイオライト記念、帝王賞、日本テレビ盃と連勝を重ね、JBCクラシック(大井2000m)を迎える。この年は単勝オッズ1.2倍で堂々の1番人気、ラ
イバルは
トランセンドだった。
外枠からスタートした
スマートファルコンがハナに立ち、道中は3馬身追いかける形で
トランセンド、さらに5馬身ほど後ろに3番人気の
シビルウォーがつけ、4番手以降を大きく引き離す。
スマートファルコンが終始レースをリードしたまま直線を向き、最後は
トランセンドの追撃を1馬身差で振り切った。重賞通算17勝はオグリキャップ(中央12勝+地方5勝)などが持つ通算最多勝利記録に並ぶものだった。
その後、東京大賞典を連覇して川崎記念も勝利。これで2010年のJBCクラシックからGI6連勝を含む重賞9連勝という大記録を打ち立てた。次走のドバイワールドC(10着)を最後に引退となったが、国内では勝ちっぱなしで現役を終えたのである。
生涯成績は34戦23勝、地方では25戦19勝し、2010年と2011年のNAR
グランプリでダート
グレード競走特別賞を2年連続で受賞するなど、地方競馬で活躍し続けた。
「ダートの
サイレンススズカ」と表現されることもあったが、芝並みの
スピードを武器にした軽快な逃げの
スタイルは、まさに馬名そのものだった。