春秋マイルGI連覇を狙うモズアスコットを含め、今年の出走馬は前走敗退馬も多い。2007年の優勝馬は3連敗からの巻き返しで、春秋マイルGI3連覇を果たした。『春秋マイル連覇の名馬』、今回はダイワメジャーをお送りする。
■着差以上の強さを見せてマイルGI3連覇
ダイワメジャーのマイルCSへの最初の挑戦は2005年、4歳のとき。勝ったハットトリックとハナ差の2着という惜敗だった。
06年はマイラーズCで約1年ぶりに重賞勝利をあげる。このときの鞍上は安藤勝己騎手。以降、安藤騎手との強力タッグで、数々の栄光を手にすることとなる。
2度目のマイルCSは、毎日王冠と天皇賞・秋を連勝して臨んだ。ここには、ダンスインザムードやハットトリック、ロジック、そして外国からはコートマスターピースといったGIホースが参戦したが、ダイワメジャーが単勝オッズ2.3倍の断然人気に支持された。
レースは、スムーズに2番手につけると直線では早めの抜け出し。最後にダンスインザムードが迫ってきたが、クビ差振り切っての勝利でGI3勝目を飾った。その後、有馬記念では距離不安が囁かれながら3着し、充実の秋を終えた。
07年はドバイ遠征(ドバイデューティーフリー3着)から安田記念へ。落ち着いたペースのなか、好位の内を追走したダイワメジャーは、逃げ粘りを図るコンゴウリキシオーをゴール前できっちりと交わし、マイルGI連勝を達成した。
3度目のマイルCSは、安田記念のあとの宝塚記念、毎日王冠、天皇賞・秋と連敗が続いての出走となった。
この年も、天皇賞・秋の2、3着馬アグネスアークとカンパニー、スワンS勝ちのスーパーホーネット、高松宮記念覇者スズカフェニックス、NHKマイルC覇者ピンクカメオなど、実力馬・実績馬が多く参戦していたが、1番人気は前年同様にダイワメジャー。とはいえ、連敗からの臨戦だったこともあり、単勝オッズは前年の2.3倍に対し3.8倍だった。
「天皇賞・秋は不利もあったが大事に乗りすぎたので、今回はハナに行ってもいいくらいの気持ちで、気合いをつけて走る気にさせた」(安藤騎手)というダイワメジャーは、スタートするとダッシュよく飛び出した。道中はローエングリンとフサイチリシャールを見ながらの3番手で、折り合いをつけて追走。直線を向くと、前にいたフサイチリシャールとマイネルシーガルに並びかけ、そこで安藤騎手のムチが入るとギアが上がり先頭に立つ。ゴール前で外からスーパーホーネットが猛追するも、最後まで抜かされることはなかった。
昨年と同様のクビ差でマイルCS連覇、秋春秋マイルGI3連覇を達成し、単勝オッズに表れたファンが抱いた少しの不安は杞憂に終わる。
マイルGI3連勝はすべてクビ差の勝利で、結果だけ見るとインパクトは小さかったかもしれない。ただ、マイラーズC以来、コンビを組んできた安藤騎手が「並ばれるとなかなか抜かせない、頑張れる馬」と勝負根性を評価したように、いつも着差以上の強さを感じさせるマイルの王者だった。
ちなみに、安藤騎手は07年にGI・6勝をあげているが、「どれだけこの兄妹に勝たせてもらったか、感謝しかない」と語ったように、そのうちの5勝がダイワメジャーとその妹のダイワスカーレットでのものである。ダイワメジャーのラストランとなった有馬記念には、兄妹が揃って出走し、安藤騎手が騎乗した妹が2着、M.デムーロ騎手が騎乗した兄が3着。たった一度の兄妹対決は、妹が勝利した。