怪物オグリキャップのラストランとして、歴史に残るのが、第35回の有馬記念だ。
この年のオグリキャップは緒戦の安田記念こそ優勝したものの、宝塚記念、天皇賞・秋、ジャパンカップと3連敗。特に秋の2戦は6着、11着と大敗を喫しており、勝負根性に火が点かない淡白な内容から、「オグリキャップは終わった」という限界説も囁かれていた。
「このまま引退させるべきだ」という声も聞こえてくるなか、陣営はラストランとして有馬記念の出走を決断。鞍上に迎えたのは若き天才・武豊だった。
果たして怪物の復活はなるのか――。ファンは祈りを込めて、オグリキャップを4番人気に支持した。
1番人気は同じ芦毛のホワイトストーン。同年の菊花賞を2着し、ジャパンカップでは日本馬最先着となる4着に健闘していた。続く2番人気は天皇賞・秋2着のメジロアルダン、3番人気にメジロライアンが続く。
逃げ馬ミスターシクレノンが出遅れ、押し出されるようにハナを切ったのはオサイチジョージ。メジロアルダン、ヤエノムテキ、ホワイトストーンらとともに、オグリキャップは好位を追走する。オグリキャップは3〜4コーナーを外を通って進出、絶好の手応えで直線に向く。残り200m地点で抜け出すと、内からホワイトストーン、外からメジロライアンが猛追。ファンの声援を背に最後のひと伸びを見せたオグリキャップが、4分の3馬身差をつけてゴールに飛び込んだ。
場内に何度も何度も木霊するオグリコール。あまりにも劇的なラストランだった。