1991年の有馬記念は単勝オッズ137.9倍のダイユウサクが勝利した(撮影:高橋正和)
主役はメジロマックイーン。前年の菊花賞馬で、この年は天皇賞・春に勝利。天皇賞・秋は1位入線から降着処分となったものの、後続に6馬身もの差をつけており、文句なしの古馬総大将だ。オグリキャップと同じ芦毛という点も、ファンの心をくすぐったのかもしれない。
2番人気はナイスネイチャ。4連勝で臨んだ菊花賞こそ4着に敗れたものの、続く鳴尾記念を快勝し、4歳(当時の表記)の代表格として駒を進めてきた。3番人気に天皇賞・秋を制したプレクラスニー、以下プリンスシン、メジロライアンと続く。
レースは4歳馬ツインターボがハナを切る。プレクラスニーとダイタクヘリオスが続き、1枠1番のメジロマックイーンは中団の内で脚をためる展開。3〜4コーナーでじんわりと進出したメジロマックイーンが、絶好の手応えで直線へ向く。
先に抜け出したプレクラスニーをめがけ、メジロマックイーンとナイスネイチャが脚を伸ばし、目論見通り、プレクラスニーを交わす。しかし、ポッカリ空いたインコースを差してきたダイユウサクがあっという間に突き抜けてゴールする。
ダイユウサクの単勝オッズは137.9倍。これは有馬記念における単勝の歴代最高配当だ。中1週でのオープン特別からの参戦、短距離からのステップも嫌われた要因だろう。しかし、上がり最速でのレコード勝ちは、決してフロックではない。デビュー戦で13秒、2戦目で7.3秒の大敗から、一歩ずつ階段を上ってきた苦労馬による一世一代の大駆けで、平成3回目となる有馬記念は幕を閉じた。