勝ちタイム2:29.5のレコードは未だ破られていない(撮影:下野雄規)
シンボリクリスエスがターフを去ってから1年。暮れの
グランプリの主役は厩舎の後輩、ゼンノロブロイに受け継がれた。
3歳で挑んだ前年の有馬記念は3着止まりだったが、4歳秋にして本格化。ペリエ騎手とのコンビで天皇賞・秋、ジャパンカップを連勝し、テイエムオペラオー以来の秋GIの3タテを狙う。もちろん1番人気はこの馬だ。
2番人気は認定厩舎制度を利用し、地方所属のままこの年のクラシックを沸かせた
コスモバルク。凱旋門賞帰りのタップダンスシチーが3番人気で続き、4番人気の
デルタブルースまでが10倍以下のオッズを示していた。
タップダンスシチーがハナに立ち、ゼンノロブロイはやや遅れ気味のスタートも、絶好枠を生かしてすぐに2番手に取り付く。ヒシミラクルも先行態勢を取り、その後ろに
デルタブルースと
コイントス。
コスモバルクは中団から競馬を進める。
タップダンスシチーは予定していた飛行機が故障で飛ばず強行スケジュールとなった凱旋門賞の影響や、帰国後の検疫の関係で調整が遅れ、陣営から「7割の出来」と泣きが入るほどの状態だったが、持ち前の先行力を遺憾なく発揮。ペースを緩めることなく飛ばしていく。
終始、2馬身のリードを保ったまま、4コーナーを回ってきたタップダンスシチーだったが、さすがに残り200mを切ったあたりから脚が鈍りはじめる。残り100m地点でゼンノロブロイが馬体を併せると、最後は半馬身差をつけてゴール。3着に差してきたシルクフェイマス。
コスモバルクは連戦の疲れが出た形で11着に沈んだ。
勝ち時計は前年に記録されたレコードを1秒更新する2.29.5。シンボリクリスエスの好敵手タップダンスシチーの演出により、シンボリクリスエスより王位を継承したゼンノロブロイが、その強さを存分に見せつけた有馬記念だった。