反応の良さが目立ったエタリオウ(写真手前、撮影:井内利彰)
今週の栗東は火曜日、水曜日と調教開始前の気温は冷え込んだが、11日の木曜日は9℃。曇り空ということで、空気は冷たかったが、気温自体はさほど下がっていない。雨が降りそうな空模様でもあったが、雨の影響を受けるようなことはなかった。
12月も中旬に入り、朝晩の冷え込み自体は厳しくなったこともあり、冬毛が目立つ馬も増えてきた。競走能力に影響はないとも言われる冬毛だが、やはり毛艶が輝いて見えるようなタイプの方が、代謝が良いので体調も良いと判断できるはず。パドックではそういったところにも注目してほしい時期ではある。
【坂路/4F51.9秒】
12月11日。一番時計はウィスパリンホープ(栗東・昆貢厩舎)の4F50.6秒。一番時計の数字自体は先週の水曜日とほぼ同じ。4F50秒台、4F51秒台の頭数も先週によく似た頭数になっている。基準時計よりも速い馬場というのは先週と変わりない。
4F目11秒台の頭数が9頭いるが、その中で最上位ラップは11.7秒のメイショウショウブ(栗東・池添兼雄厩舎)。そのラップを刻んだ区間では、右ラチ沿いの方へ寄っていくシーンがあり、その点は高く評価できないが、それでいながらこのラップというのも凄い。もともと追い切りでは動くタイプとはいえ、坂を駆け上がっていく能力は相当高いのだろう。
12日。一番時計は4F50.1秒のスワーヴリチャード(栗東・庄野靖志厩舎)。これが有馬記念(12月22日・中山芝2500m)に向けた1週前追い切りだったが、O.マーフィー騎手が跨って単走の走りはとにかく素晴らしい。この時計自体は自己ベストを更新しているが、これは楽にマークできるところが現在の絶好調を示しているのではないだろうか。
先週の馬場差は「-0.4秒」。今週もほぼ同じような時計の出方という印象なので、今週の馬場差は11日、12日とも『-0.3秒』で記録している。
【CW/5F66.0秒】
12月11日。乗り手からは馬場状態について走りにくい、走りやすいと対局の意見を聞くことがあったが、時間帯や通った場所、また騎乗馬のキャラクターによって、乗った感触が違うのかも知れない。時計的なことで言えば、決して基準時計より遅い馬場ではない。
だからこそ、5Fで65秒を切る頭数が10頭以上いたと思うが、4F51.0秒で素晴らしい脚力を見せたのが、キンノマサカリ(栗東・鈴木孝志厩舎)。3F36.7秒をマークしているように、コーナーから最後の直線へ向く時のスピード感が抜群。現在は2歳1勝クラスでダート中距離というカテゴリーだが、すぐにダート重賞を勝ちそうなくらいのポテンシャルはある。
12月12日。馬場状態としては前日と変わらない。馬の少ない時間帯に有馬記念(12月22日・中山芝2500m)に向けた1週前追い切りを行ったのが、友道康夫厩舎のエタリオウとシュヴァルグラン。
エタリオウが先行して、シュヴァルグランが6馬身ほど追いかける展開だったが、向正面はその差をあまり詰めていない。3コーナーあたりから内を回って、前との差を詰めていき、最後の直線では1馬身ちょっとのところまで迫った。
しかし、相手もそれに反応して加速したため、ゴールでは1馬身ほどシュヴァルグランが遅れたという併せ馬の結果になった。もともとシュヴァルグランが併せ馬で先着しないタイプではあるが、エタリオウの反応の良さが目立った追い切りでもあった。
先週の馬場差は「-0.5秒」。馬場状態は変わっていないし、時計の出方も大きく変わっていない。よって、今週の馬場差は11日、12日とも『-0.4秒』で記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週の芝馬場は11日と12日で10頭以上。頭数が少ないこともあり、馬場の状態は先週に引き続いて安定している感じ。今週の馬場差は11日、12日とも『±0.0秒』で記録している。
ポリトラック馬場での追い切り頭数は、先週よりちょっと増えて、30頭強といったところで安定はしている。時計の出方も速すぎず、遅すぎずといったところで安定している印象を受ける。馬場差としては、先週と同じ『±0.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・文:井内利彰)