“レコードが出やすい状態”という条件で台頭してきた1頭がビアンフェ。先週のレシステンシアとラップギアが類似しているだけに侮れない
阪神芝1600mでの施行となってから今年で6年目となる朝日杯フューチュリティS。このレースを牝馬限定のGI阪神ジュベナイルFと同コースにした意図がいまだにわからないのですが、過去5年の同レースを見るに、阪神ジュベナイルF以上にスローからの瞬発力勝負となる傾向。それがハッキリしているだけに、穴馬も含めて馬券的には狙いやすいレースという印象がありました。
しかし、先週の阪神ジュベナイルFの結果にも現れているように、今の阪神の芝コースは明らかに特殊傾向。過去6週間で8つのレコードが更新され、2歳レコードも含めて14の芝コースで半数のレコードが書き換えられています。
過去には2004年小倉や2017年函館でこれに近いレコードラッシュを記録した例もあるのですが、今回はローカルコースのレコードではなく、主場開催の阪神というのがポイント。タイムが速いといっても、レコードにまではなかなか届かないもの。重賞ばかりではなく、未勝利馬や条件馬が、アグネスタキオンやイスラボニータのレコードを軽々と更新してみせたのは、なかなかの衝撃でしたね。
レコードの出るような馬場は、前に行った馬が止まらないというのが近年芝コースの定説。阪神ジュベナイルFの勝ち馬・レシステンシアはそれを体現してみせた形なのですが、その意識が騎手間で浸透すると、今度は前へ前への意識が働き過ぎてオーバーペースにもなり得るというのが競馬の難しいところです。
例年通りの朝日杯フューチュリティSなら、ラップギア適性値【瞬発2:平坦0:消耗0】のサリオスや、【瞬発2:平坦0:消耗0】のレッドベルジュールのような瞬発力タイプが圧倒的に有利なはずですが、前週の阪神ジュベナイルFと同様の展開を想定するなら、レシステンシアに近いのは【瞬発2:平坦1:消耗1】のビアンフェや、【瞬発1:平坦1:消耗0】のペールエールといったあたり。
さらに、オーバーペースでの前崩れを狙うなら【瞬発1:平坦1:消耗1】のタイセイビジョンや、【瞬発1:平坦1:消耗0】のラウダシオンが狙い目となり、適性重視派は想定次第で180度、270度と大きく見立てを変えなければならないのが今年の朝日杯フューチュリティS。
前日(土曜)の芝レースを最後まで見極めてからの熟考が必要となり、かなり厄介なレースだと思いますが、それだけにウマい馬券での最終結論にはぜひ注目していただきたいと考えております。
(文=岡村信将)