2019年香港ヴァーズ以来のG1・2勝目を狙うグローリーヴェイズ(撮影:高橋正和)
2017年のネオリアリズム、2019年のウインブライトと1年おきに勝利し日本馬と相性が良いレース。そのジンクスを信じるならば今年は日本馬が勝つ年だ。
出走馬7頭と少頭数ながら、そのうち6頭がG1馬。その中で、昨年に無敗で牝馬三冠を達成したデアリングタクト、2019年のG1香港ヴァーズを制したグローリーヴェイズ、前走G1ドバイシーマクラシックではワールドランキング最新版で首位のミシュリフと差のない競馬で3着に健闘したラヴズオンリーユーの3頭が上位人気を占めそうだ。
この3頭の順位付けには頭を悩ますところだが、香港で実績と経験があるグローリーヴェイズを最上位に推す。シャティン競馬場の2000メートルで行われる当レースは、昨年のエグザルタント、2018年のパキスタンスター、2017年のネオリアリズムのように好位抜け出しの馬が戴冠しており、先行力があるグローリーヴェイズに適している。前走の金鯱賞では重馬場が影響してか4着に終わった同馬だが、2着デアリングタクトとは斤量2キロ差ながら0.1秒差。香港では斤量1.5キロ差に変わるだけに、逆転の可能性は十分にある。勝負のポイントは実績に乏しい2000メートルの距離を克服できるかだけ。
対して、出走する日本馬の中で唯一2000メートルの重賞勝ちがあるデアリングタクトは、距離適性が高い。ただ、牝馬のデアリングタクトにとって不吉なデータがあるため対抗とする。過去にクイーンエリザベス2世カップで牝馬が優勝したのは2006年のイリデセンスのみ。それ以降でも、3着以内に入ったのは2019年のリスグラシューだけだ。それでも、1997年以降では2番目に多い4勝の1番枠(最多は5勝の8番枠)を引き当てたことは、デアリングタクトにとって吉兆だ。ラヴズオンリーユーはドバイからの輸送を考慮してあえて消す。
展開のカギを握る2017年の菊花賞馬キセキは、後方から道中押し上げて2着に入線した2020年宝塚記念のような競馬に徹すれば3着に入っても不思議ではない。昨年の勝ち馬エグザルタントは、先行してからの粘りが持ち味。2019-2020年シーズン香港年度代表馬だが、勝ち星から約1年見放されているため連下まで。
◎グローリーヴェイズ
〇デアリングタクト
▲キセキ
△エグザルタント
(文:一野洋)