今週デビュー予定のビップシュプリーム(写真最奥の青帽、6月30日撮影:井内利彰)
先週から本格的な夏競馬がスタートしているが、この時期にデビューする馬もクラシック路線に乗っている。2016年に小倉芝1800mでデビュー勝ちを決めたペルシアンナイト(父ハービンジャー)は皐月賞2着。秋にはマイルCSでGI初制覇を果たした。
2018年に小倉芝1800mの新馬戦を勝ったクロノジェネシス(父バゴ)はご存じの通り。先日の宝塚記念連覇でGIを4勝。今の日本競馬をけん引する存在となっている。今年の小倉芝中距離からも将来的にGIを勝つような馬が出てくるのかどうか、ぜひ注目して欲しい。
【7月10日(土) 小倉芝1200m】
◆ビップシュプリーム(牝、父サトノアラジン、母シーカーマ、栗東・松下武士厩舎)
2020年セレクトセール1歳にて、3400万円で落札されたサトノアラジン産駒。きょうだいに重賞勝ち馬がいるわけではなく、父の初年度産駒ということを考えると、なかなかの値段という印象だったが、6月30日の追い切りの動きを見ると、それも納得といった感じ。
CWでの3頭併せだったが、一番後ろから追走する形。4コーナーでは前を楽に捕まえることができる位置まで詰めていき、最後の直線は楽々と抜けてきた。その時計は6F78.8〜5F64.5〜4F50.5〜3F38.2〜1F12.7秒。少し内を回っていたとはいえ、この数字はまさに破格。6月23日の坂路では4F53.8秒と時計を出していて、馬場問わずしっかりと動けている点もいい。
鞍上は鮫島克駿騎手が予定されている。
【7月11(日) 小倉芝1800m】
◆グランディア(牡、父ハービンジャー、母ディアデラノビア、栗東・中内田厩舎)
ディアデラマドレ(父キングカメハメハ)は府中牝馬Sなど重賞3勝、ドレッドノータス(父ハービンジャー)は京都大賞典など、きょうだいに重賞ウイナーがいる良血。
6月30日は芝馬場で川田将雅騎手が跨って併せ馬を行い、3歳未勝利馬に先行して、最後は目一杯に追われて、ほぼ同入かなという感じ。見た目には余裕がないゴール前だったが、時計が6F76.1〜5F61.8〜4F48.3〜3F35.2〜1F11.9秒なら上出来。同じ時間帯に他厩舎の新馬が追い切って、この時計よりも遅くてゴール前の走りが鈍い動きを見せていたことを考えても、馬場状態も決して走りやすいというわけではなかったはず。あとは実戦でどんな走りを見せてくれるか注目だろう。
◆ピースオブエイト(牡、父スクリーンヒーロー、母トレジャーステイト、栗東・奥村豊厩舎)
母は現役時代に奥村豊厩舎で管理されて、JRAのダートを3勝。「母はダートで活躍してくれましたが、この馬は芝にも対応してくれそうなキャンターをしますね」と奥村豊調教師。
6月30日のCW追い切りでは新馬と併せ馬。前半がゆっくりしたペースだったこともあり、力んで走っているようにも見えたが、ラストはしっかりと脚を使って、1F12.0秒。これを馬なりでマークしているからスピードはある。母がスピードタイプだっただけに、それが長所として本馬にもしっかり伝わっている反面、この距離だと折り合いが鍵になってくるかも知れない。
なお、鞍上は福永祐一騎手が予定されている。
【7月11(日) 小倉芝1200m(牝)】
◆アンジーニョ(牝、父ミッキーアイル、母ポルケテスエーニョ、栗東・高橋義忠厩舎)
叔母に新馬、ファンタジーSと連勝したミスエルテ(父Frankel)がいる血統。ミッキーアイル産駒は、現3歳のメイケイエールが小倉2歳Sで芝重賞を勝つなど、今年も期待の2年目となる。
本馬は3月26日にノーザンFしがらきから栗東へ入厩し、ゲート試験に合格した後に放牧。デビューへ向けて帰厩すると、6月24日の坂路では4F53.6秒をマーク。6月30日のCWの併せ馬では遅れたものの、順調に時計を出して、追い切りを消化している。父も母系もスピードが売りな血統であることは間違いなく、個人的には芝の実戦タイプといった印象を持っている。
鞍上は松山弘平騎手が予定されている。
(取材・文:井内利彰)