ライバルを力でねじ伏せたトウメイ(中央)=1971年12月19日
目下2年連続で牝馬が頂点に立っている暮れの
グランプリ。過去に有馬を制した牝馬にスポットを当てた。第2回は71年の
トウメイを振り返る。
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1960年の
スターロツチ以来、11年ぶりの牝馬Vを飾ったのが
トウメイだ。出走時の馬体重は430キロと小柄だったが、同レース史上最少頭数となった暮れの中山で大きく輝いた。
当時、馬インフルエンザが大流行。前年2着のアカネテンリュウに、前年の天皇賞・秋を制したメジロアサマ、さらに
カミタカの3頭が出走を取り消した。予定の9頭立てからゲートインしたのはわずか6頭。
トウメイは関西からの遠征で外厩にいたことで難を免れた。
全馬横一線のスタートから、
トウメイは5番手の位置取りを選択。2周目の1角で最後方にいたダイシンボルガードが、掛かり気味に先頭へ躍り出たが、冷静に後方外めで脚を温存した。勝負どころの4角から仕掛けると、直線では内で粘り込みを図るラ
イバルたちを力強くねじ伏せて先頭へ。ゴール前は流す余裕を見せて激戦を制した。
桜花賞2着、オークス3着とクラシックの栄冠にはあと一歩届かなかったが、6歳(現5歳)になって大きく飛躍。有馬記念の前には当時3200メートルだった天皇賞・秋を制しており、史上初めて牝馬で年度代表馬に選ばれた。デビュー前は、貧相な馬格で預託厩舎すら見つからない時期もあったが、豊富なスタミナと勝負根性を武器に現役最強馬まで上り詰めた。