1番人気に応えてエフフォーリアがグランプリ制覇(撮影:下野雄規)
大方の予想通りパンサラッサがハナを切り、タイトルホルダーがつづく。1周目のスタンド前で馬群は先頭から最後尾まで12馬身ほどの縦長になった。
横山武史のエフフォーリアは中団で折り合いをつけた。
「初めての2500mという、今まで走ったなかで一番長い距離だったので、折り合いが不安だったのですが、いいところをリラックスして走ることができました。ダービーのときと違って、馬が余計なファイトをすることなく走ってくれました」
そう横山が振り返ったように、エフフォーリアは、ダービーのみならず、前走の天皇賞・秋以上に折り合って走っていた。
また、横山が口にした「いいところ」というのは、ちょうどすぐ前のクロノジェネシスをマークするような位置につけられたことだった。向正面では、外からじわっとクロノジェネシスに並びかけていった。
3コーナーに入ると馬群が凝縮されてきた。エフフォーリアは、内にクロノジェネシスを封じ込めるようにしたまま4コーナーを回り、直線へ。
直線入口で、エフフォーリアの前は綺麗にあいていた。先頭との差は2馬身ほど。
ラスト300m付近でタイトルホルダーが先頭に立った。外に差なくディープボンドがつづく。が、ラスト200m付近でさらに外からエフフォーリアが一気に抜き去り、先頭に躍り出た。
「内側からディープボンドも来ていましたし、ガムシャラに追って、何とか勝ってくれという思いでした。それに応えてくれた馬に感謝しています」
ディープボンドがしぶとく食らいついたが、エフフォーリアか3/4馬身差で振り切り、先頭でゴールを駆け抜けた。
着差はわずかではあったが、じわじわと差をひろげながらのフィニッシュだった。まったく危なげない完勝だった。
騎乗馬の力を信じて脚を溜め、ライバルの力を封じながら、一気に瞬発力を引き出した横山の騎乗は見事だった。
(文:島田明宏)