上昇ムードが漂うヴェローナシチー(撮影・石湯恒介)
「菊花賞・G1」(23日、阪神)
65年ぶりに皐月賞とダービー連対馬がいない混戦ムードの牡馬3冠最終章。虎視たんたんと爪を研いでいるのが
ヴェローナシチーだ。未勝利クラス卒業以来、勝ち星こそないものの、重賞とリステッドでも常に濃い内容で善戦。早くから陣営が中長距離の適性の高さを評価してきた素質馬が、新コンビを組むリーディングトップの川田とともに、大一番で力を発揮する。
待ちに待った菊の舞台でついに素質が花開く。春は不完全燃焼に終わった
ヴェローナシチーが、最高潮の状態で最後の1冠に歩を進めてきた。
父は13年の菊花賞馬
エピファネイア。非凡な
パワーとスタミナを確かに受け継いでおり、佐々木師は「早くから菊花賞向きだと思っていた。走りが完全に長丁場向きだからね。いかにも合うよ」と自信の表情を浮かべる。
未勝利クラス卒業以来、勝ち星こそないが、重賞とリステッドで常に上位争い。「“1勝馬”だけどオープンに近い」と言うように、能力を疑う余地はない。約4カ月ぶりで「7、8割のデキだった」という前走の神戸新聞杯も、スローペースを後方から進め、4角では前がごちゃつくロスがありながら5着を確保。万全なら結果は違っていたはずだ。
今回が初騎乗となる川田も心強い。指揮官にとってはプロキオンSを
ゲンパチルシファーで制して以来、22年2度目のタッグで、「うまいジョッキーだよね。考え抜いた騎乗をしてくれる」とうなずく。1週前追い切りでは、その鞍上がまたがり、同じく菊花賞に登録している
インプレスと栗東CWで併せ、2馬身先着を決めた。
「超抜の動きだったね。いつもは負けてたのに一気に引き離していた」と絶賛しつつ、「ジョッキーも“乗り味がすごくいい”と言ってくれた」と、ニヤリと笑ったトレーナー。10年菊花賞を7番人気の
ビッグウィークで制した川田に導かれ、父子制覇の栄冠をつかみ取る。