シルトプレが並みいる古馬に立ち向かう(撮影:田中哲実)
SNSや動画投稿サイトでは、倍速再生をする人が増えているらしい。そこまで生き急いでどうするのか、ましてや映画などを早回しで見ることには作品への冒涜すら感じるが、それはともかく個人の自由として、北海道における秋から冬への移行は、リアル倍速再生である。今年の門別競馬は開催日数が増え、開催終了が1週間延びているのだが、季節はそれを待ってくれない。もう朝晩は氷点下の冷え込みである。こればっかりは、我々も倍速で冬支度をするしかない。
さて、今シーズンの古馬中長距離重賞は、5つすべて異なる馬が勝利した。それだけで混戦模様を説明するには十分だが、この大一番には、その5頭に加え、3連覇が懸かるクインズサターン、昨年のリベンジを期すサンビュートが参戦。更に、世代トップクラスの3歳馬が挑戦してきたのだから、まさに頂上決戦である。
ポイントは3歳馬の評価だろう。近年では、3年前にリンノレジェンドが優勝し、昨年にはオタクインパクトが2着に来ているように、3歳馬の好走は珍しくない。複数の重賞タイトルか、あるいは古馬A級での勝利経験が必要と言えるが、今年のシルトプレとエンリルには通用の下地がある。特に前者は三冠競走2勝に加え、ダービーグランプリ優勝という抜きん出た実績の持ち主。歴戦の古馬には一目置くべきだが、筆者は世代交代の一戦と見た。
古馬勢では、サンビュート陣営の今年に懸ける意気込みが際立っている。昨年は意表を突く逃げの戦法が裏目に出て、不完全燃焼に終わってしまった。前を見ながら運ぶ形なら、結果は違うだろう。9月まで休養が長引いた影響がどこまで残っているかだが、クインズサターンの実績も無下にはできない。
他では、瑞穂賞が完勝のドテライヤツ、直前の気配がいいハセノパイロなどを連下に評価したが、印を絞るのが憚られる豪華メンバーである。あとから倍速再生するのは結構だが、まずは是非、リアルタイムで熱戦を感じてもらいたい。
(文:競馬ブック・板垣祐介)
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