JRAは8日、令和5年度の新規調教師免許試験の合格者を発表。ダービー3勝など、JRA重賞159勝を挙げた福永祐一騎手(46)=栗東・フリー=ら7人が合格した。福永は会見で「馬にとってベストな選択ができる厩舎」を目指すと宣言。開業時期は未定だが、23年2月末の騎手引退後しばらくは、技術調教師として経験を積んでいく。
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-試験勉強はいつから?
「今年に入ってからですね。ただ、騎乗制限をかけたりという選択は取りませんでした。パスできなかった時には、騎乗を控える形を取ろうかと思ったけど。苦労した、頑張ったと言うよりも、周りがサポートしてくれました。勉強することが苦ではなかったし、知識が増えて、騎乗する上でたくさんのアプローチができるようになりました」
-調教師を目指した理由。
「一つではないです。けがのこと、親、家族のこと-。一番は騎手よりやりたい仕事が見つかったということ。四半世紀騎手を続けてきたけど、最高の仕事だなと思ってやり続けている中で、それよりもやりたいことが見つかったのが一番。騎手が楽しいという気持ちが上がって行く中で、その気持ちを上回りました」
-騎手としてやり残したことは。
「言いだすといっぱいある。きりがない。今、自分が置かれている環境は、ずっと望んでいた環境なんです。やりたいように仕事させてもらっている。周りからも認めてもらえて。何も不満がない。恵まれた幸せな環境の中で、さらにやってみたい仕事を見つけられて幸せを感じますね」
-誰かに相談は。
「相談は妻に。母親には僕が20代の頃から“もうやめたら?”と言われていたし。今回、合格できたということで、とても喜んでくれましたね」
-多くの人に支えられてきた。
「ここまで騎手を続けることができているのも、北橋先生と亡くなられた瀬戸口先生のおかげだと思うし、それ以外にもたくさんの方々が育ててくれて、そういう方々が、“ユーイチを育てたんだ”と誇りに思ってくれるようなジョッキーでありたいと思ってずっとやってきたし、調教師という立場になっても継続して支えてくださった人たちが誇れるようなホースマンでありたいと思います」
-思い出に残るレースは。
「一つは難しいけど、3冠を達成できたのは大きいですし、ダービーを勝たせてくれた
ワグネリアン…言いだすと尽きない。キングヘイローもそうですし、多くの馬が自分を育ててくれました」
-ジョッキー人生はあと3カ月。
「ひとレース、ひとレース、変わらず全力を尽くして最善の結果を出せるようにしていきたい思いと、たくさんの方が応援してくださっているので、残された期間、一人でも多くの方に見てもらえたらと思います」
-父・福永洋一氏について。
「父がいなければ、この世界に足を踏み入れることもなかったですし、ルーツというか、
アイデンティティというか。福永洋一という偉大な騎手がいたからこそ、僕はこの世界に入って来られて、たくさんの方にサポートしてもらえました。父なくしては自分はありえないし、3月まで勤め上げて、いい報告ができれば」
-自身の強みは。
「多くのG1馬に乗ってきたこと。短距離馬、中距離馬、ダート馬、牝馬。さまざまなG1を勝たせてもらって、勝てる馬の背中を知っている。また、どういった過程を踏んでG1を勝つことができたかを経験したのは大きな強み。調教師になっても生かせる経験だと思うし、昔から調教が好きだったので」
-どういった厩舎を作るか。
「馬にとってベストな選択ができる厩舎。技術の探求力。今の仕事のベースになっているので、一緒に馬をつくる仲間にもそういう意識を持って働いてほしいし、そういう集団であってほしい。馬って生き物なので、どれが正解と断言できるものが少ない中で、それを探し続けてベストな方法、手段、調教、そういったものを馬に施していけるチームでありたいです」