◆第90回日本ダービー・G1(5月28日、東京競馬場・芝2400メートル)
馬トク予想陣の“
ラスボス”小宮栄一記者による「
ステップレース診断」は日本ダービー特別版。大一番に駒を進めてきた精鋭たちの前哨戦を完全分析する。
【皐月賞】2歳G1馬
ドルチェモア、
ドゥラエレーデが別路線を選択。重賞2勝馬が不在で、ディープインパクト産駒も姿を消した。輪をかけて前日の雨で重馬場。混迷を極めた3歳牡馬3冠初戦は、終わってみれば“1強”に。
ソールオリエンスが、衝撃的な追い込みを決めた。最終コーナーで一番外に持ち出した時が17番手でも、急坂を駆け上がってからの伸び脚はラ
イバルが止まっているかのように見えた。上がり3ハロン35秒5は、2位(〈3〉〈6〉〈7〉着馬の36秒4)に0秒9差。断然の1位だ。
16日付「
ステップレース診断=オークス」にこう書いた。2着
ハーパーに6馬身差をつけて史上17頭目の牝馬2冠に輝いた
リバティアイランドを、桜花賞は『別次元の末脚で乗り越えた―』。それでも上がりタイムは、2位との差が0秒7だった。
【青葉賞】シンボリクリスエス、ゼンノロブロイ、
フェノーメノ…。優勝馬に名馬が名を連ねても、この組からダービー馬が誕生したことがない。過去10年7勝の皐月賞組は中5週のローテーション。対して、1か月間に2度、東京・芝2400メートルを舞台に過酷な戦いを強いられる。この違いは大きすぎる。
スキルヴィングを勝利に導いたルメールは、大胆な“省エネ”戦法を採用。終始、中団の外で運び、決して急がない。直線半ばまでじっくり構え、最後は右ステッキ2発。2着
ハーツコンチェルトに1/2馬身差でも、体力の消耗を最小限にとどめた。
母の父でもある前記シンボリクリスエスは、02年日本ダービー2着馬。青葉賞Vが3歳になって5戦目。2月のゆりかもめ賞(3着)で星を落とすなど、賞金加算に手間取った。孫は、2歳10月のデビューから4戦のキャリア。臨戦過程で、皐月賞組に負けていない。