今週デビュー予定のラケダイモーン(写真奥、6月28日撮影:井内利彰)
3回中京開催では毎週、芝1600mの新馬戦が行われているが、牝馬限定戦に関しては今週の1鞍のみ。牝馬限定とはいえ、ここを目標にデビューを目指してくる馬も多く、レベルの高いレースになることもある。
2017年の勝ち馬トロワゼトワルは3歳時こそ条件クラス止まりだったが、古馬になってから京成杯オータムHを連覇。2019年に関しては、1分30秒3のレコード勝ちというスピードを見せた。
2019年の6着イズジョーノキセキも3歳牝馬クラシックの路線には乗れなかったものの、2022年に府中牝馬Sで重賞制覇。この時期にデビューする牝馬だからといって、決して早熟というわけではなく、将来性を含めた素質の高い馬が多いという意味ではレース全体が注目といってよいのではないだろうか。
【7月9日(日) 中京芝2000m】
◆ミカエルパシャ(牡、父エピファネイア、母ピースオブラヴ、栗東・橋口慎介厩舎)
母は現役時代にマーメイドS2着の重賞実績があるが、きょうだいからは目立った活躍馬が出ているわけではない。ただ、本馬は2022年セレクトセール1歳にて、3100万円で落札されている。
それだけ素質の高い馬という印象を受けるが「1歳の馴致が終わった段階からずっと順調で優等生。走らせると闘争心を見せますし、ここまでは申し分ないといった感じ」と橋口慎介調教師。
6月29日のCWでの追い切りにはレースでも騎乗予定の松山弘平騎手が騎乗。古馬1勝クラスを追走したが、終始余裕のある動きで先着。時計は6F79.3秒と速く、ラストも11.4秒。この動きに「めちゃくちゃ動きますね」と師も満面の笑み。あとは実戦でどんな走りを見せてくれるか、といったところだろう。
◆ラケダイモーン(牡、父レイデオロ、母ラルケット、栗東・須貝尚介厩舎)
半兄に2018年マイルCSを優勝したステルヴィオ(父ロードカナロア)、半姉に今年のNHKマイルCで2着したウンブライル(父ロードカナロア)がいる。本馬は2022年セレクトセール1歳にて、2億2000万円で落札されている。
5月4日にノーザンファームしがらきから入厩して、5月17日にゲート試験を合格。その後も栗東に在厩して追い切られており、当初はあまり目立った動きを見せていなかったが、2週前追い切り、1週前追い切りではJDDでも有力視されているユティタムと併せ馬。1週前はレースでも騎乗予定の川田将雅騎手が跨り、6F80.7秒、ラストも11.5秒としっかり動けていた。
【7月9日(日) 中京芝1600m(牝)】
◆バウンシーステップ(牝、父モーリス、母バウンシーチューン、栗東・高橋亮厩舎)
きょうだいはまだJRAで勝利することができていないが、母バウンシーチューンは2011年フローラSの勝ち馬。母系にはキーンランドCを勝ったレイハリア(父ロードカナロア)がいる血統で、大きなところを勝てる血統という印象はある。
本馬は3月に栗東へ入厩し、ゲート試験合格後に一旦牧場へ戻っている。6月に栗東へ再入厩し、毎週金曜日にCWで追い切り。1週前は3頭併せを一番後ろから追いかけて、きっちりと最先着。レースでも騎乗を予定している菱田裕二騎手が付きっきりで追い切りにも跨っているだけに、実戦で人馬一体の呼吸が見られるのではないだろうか。
【7月9日(日) 福島芝2000m】
◆ライジングアロー(牡、父スワーヴリチャード、母クイックリトルミス、栗東・庄野靖志厩舎)
新種牡馬、スワーヴリチャードの産駒。東京最終週にヴェロキラプトル(栗東・高野友和厩舎)が新馬勝ち、同じ週の未勝利をコラソンビート(美浦・加藤士津八厩舎)が勝ち上がり、早くも結果を出しつつある。
本馬は4月14日にノーザンファームしがらきから栗東へ入厩。ゲート試験合格後に一旦牧場へ戻り、6月に栗東へ再入厩。Dコース芝馬場での1週前追い切りはレースでも騎乗予定のM.デムーロ騎手が跨っての3頭併せ。一番後ろからだったこともあり、ゴールでは遅れてしまったが、時計は6F77.7〜5F61.1〜4F47.1〜3F34.4〜2F22.9〜1F11.5秒。ラスト3Fはすべて11秒台を刻みながら追いつけなかったのは仕方ない。
むしろ、これだけしっかりとやれたことで実戦がより楽しみになったという感じ。
(取材・文:井内利彰)