ブロードアピールが魅せた鬼の末脚 今でも語り継がれる00年根岸Sの快走劇

2024年01月25日 20:20

ブロードアピール(写真は02年のガーネットS勝利時、撮影:下野雄規)

 開幕週を迎える東京競馬場では、日曜のメインに根岸ステークス(4歳上・GIII・ダ1400m)が行われる。JRAのダート重賞では3番目に古い歴史を持つ一戦で、数々の砂巧者が勝利を挙げてきたが、いまでも語り草となっているのは2000年の同レース。覇者ブロードアピールが魅せた鬼脚は多くの人々をひきつけ、地上波のバラエティ番組でも取り上げられるなど、GIII競走としては異例ともいえる扱いを受けている。

 ブロードアピールは父Broad Brush、母Valid Allure、母の父Valid Appealという血統。98年9月に札幌競馬場で行われた4歳上500万下でデビューし経験馬相手にいきなり3着に入ると、翌週には早くも初勝利を挙げる。同年11月から4連勝するなど遅れたデビューを取り返すように実績を積み、10度目の重賞挑戦となった00年のシルクロードSで重賞初制覇を果たした。

 本稿の主題、00年の根岸S。意外にもダート重賞は初挑戦だった。とはいえ、芝での実績が豊富だったことや、同年5月にダートの栗東Sでレコード勝ちしていたこともあり、2.8倍のやや抜けた1番人気に支持される。宇都宮の快速娘ベラミロードや、砂の安定株エイシンサンルイス、ワシントンカラーが揃った一戦。個性的なメンバーの中で、ブロードアピールは衝撃的なレースを披露した。

 ゲートが開くとベラミロードやエイシンサンルイスがハナをうかがうが、ブロードアピールは最後方15番手に待機。武幸四郎騎手は追い込みにかける競馬を選択した。ペースは前半600mが34.1。どスローではないが、オープンでは決して速いペースではなかった。現にレースを引っ張ったエイシンサンルイス、ベラミロードがそれぞれ2着、4着に粘り込んでいる。

 4コーナー過ぎで10馬身近くあった差を一気に詰めにかかるが、レースを見ていた大半のファンが「あの位置では届くはずがない」と思っていたことだろう。だが、また1頭、また1頭とかわしていく。残り300m。実況アナウンサーやファンが“異変”に気づいた。なんと、ブロードアピールがものすごい勢いで、すぐそこまでせまっているではないか。

 残り200mで5馬身差をひっくり返すには十分な距離、スピードだった。終わってみれば1馬身差少々の快勝。ファンや関係者、このレースを見たものすべてが心揺さぶられるような瞬間だった。根岸Sといえばブロードアピール、ダートの追い込み馬といえばブロードアピールといわれるほど、彼女の鬼脚はファンに強烈なインパクトを残した。

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