史上初の「JBC地方馬V」 フジノウェーブの快挙と彼に続いた名馬たち

2025年03月13日 07:00

07年のJBCスプリントを制したフジノウェーブ(撮影:高橋正和)

 きょう3月13日は大井競馬場でフジノウェーブ記念(4歳上・SIII・ダ1400m)が行われる。レースタイトルの「フジノウェーブ」とは、2007年に地方馬で初めてJBC競走を制した名馬。今年は船橋競馬場が舞台となるJBCは、第25回の節目を迎える。同馬を称える記念競走を前に戴冠を果たした地方馬たちを振り返る。

 まずはフジノウェーブの蹄跡から。同馬は笠松でデビューしたのち、3歳途中から大井に移籍。4歳5月から翌春まで10連勝を飾り、非凡な才能を見せていたが、さきたま杯4着、帝王賞11着とダートグレードのタイトルには手が届かず。そんな中で迎えたのが、07年のJBCスプリントであった。メイショウバトラーら中央、地方の強豪が顔を揃え、単勝38.1倍の人気薄で出走。御神本騎手が内3、4番手から巧みに捌くと、最後はクビ差だけ2着馬を退け、創設7年目にして地方馬が初めて頂点に立ったのだった。

 同馬は晩年になっても衰え知らずで活躍を続け、中でも東京スプリング盃は10年〜13年にかけて4連覇を飾った。11歳夏に現役を退き、引退後は誘導馬になることが決まっていたが、去勢手術中の事故によって急死。地方競馬に大きな功績を残したことを踏まえ、東京スプリング盃は14年からフジノウェーブ記念へと名を変えたのである。

 その後しばらくは地方馬の勝利が遠ざかっていたが、初の浦和開催となった19年のJBCスプリントで御神本騎手が再び魅せた。地元所属で単勝71.0倍の人気薄だったブルドッグボスで、コパノキッキング以下を豪快に差しきり同騎手2度目の勝利。大井で行われた翌年は出走16頭中15頭が重賞ウイナーという超豪華メンバーでの争いとなったが、地元生え抜きのサブノジュニアが快勝。23年にはダートグレード競走3勝の実力馬イグナイターが、圧倒的1番人気のリメイクらを封じ、兵庫県勢初のGI級タイトルを獲得。JBCスプリントは以上4頭の地方馬が勝利している。

 JBCレディスクラシック、JBCクラシックでも1頭ずつの勝ち馬が出ている。17年のJBCレディスCを制したララベルは、前年の同レースを当日朝に競走除外となるアクシデント。そこから長い時間をかけてじっくりと立て直し、1年越しでつかんだビッグタイトルだった。金沢競馬場で2度目の開催となった21年は、ミューチャリーがJBCクラシックを制覇。地元のエース・吉原寛人騎手が手綱をとると、いつもより早めの競馬でオメガパフュームの追撃を半馬身差振り切り、創設から20年での悲願成就となった。

 2020年からはJBC2歳優駿も新カテゴリーとして追加された。こちらでは第1回をラッキードリーム、昨年をソルジャーフィルドが制している。前者は3歳時に道営三冠を達成し、現在は大井所属で現役続行中。後者は暮れの全日本2歳優駿でも3着と見せ場を作り、今年はさらなる飛躍が期待される。

 フジノウェーブが重い扉を開けてから、JBC2歳優駿を含め、JBC4競走で計8頭の勝ち馬を出すまでになった。今秋は再び地方競馬の関係者、ファンに喜びを届ける勝利が見られるだろうか。フジノウェーブ記念からそんな期待馬が出てくることを願いたい。

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