北海優駿に出走予定のソルジャーフィルド(撮影:山中博喜)
人生は選択の連続だ。夜ご飯に何を食べようかという日常的なシーンから、進学先や就職先を決める重大な局面まで、われわれはいくつもの分岐点を越えながら生活している。競馬において「レースは生き物だ」と言われる理由のひとつは、そこに参加しているジョッキーたちの瞬間瞬間の選択、判断によってレース展開が如何ようにも揺れ動くからである。
北斗盃でのソルジャーフィルド(=小野楓馬騎手)は、かなり大胆な選択をしたと思う。これまでのレースで確立していた末脚勝負という自分の型を捨て、先手を取ったウィルオレオールに2コーナー過ぎから馬体を併せてマッチレースに持ち込んだのだ。
もちろん、これを否定する気は毛頭ない。ソルジャーフィルドにとっては短いマイルという距離と、直線の短い内回りコース、そして強力な相手を意識しての運びだというのは明白で、非常に見応えのあるレースになった。結果はどうあれ、やはりこういう予想外の展開があるからこそ競馬は面白い。
さて、今回は外回り2000mへと舞台が替わる。ソルジャーフィルドにとって、この条件替わりは明らかなプラス材料だ。また、北斗盃でアタマ差下したウィルオレオールは東京ダービーへ、ゴール前で急追した3着ミラクルヴォイスは短距離路線へ向かうという選択をした。
相手関係が課題になることもないだろう。つまりはもう自分との戦いである。前走の先行策のあとで、特別長い1コーナーまでのホームストレッチを力まずに走れるかどうか。ここさえクリアすれば、三冠王手の確率は限りなく高いだろう。
むしろ難しいのは相手探しだ。実績的には重賞2勝のバリウィールが他馬をリードしており、この馬を無印にはできない。逃げ馬の特定は難しいものの、中央3歳1勝クラスから転入してきたスワッガーの先行力に注目する手もあろう。前走、古馬B級戦で門別7連勝中のアジャイルブラックに食い下がった渋太さは評価の対象だ。
また、ソルジャーフィルドが4コーナーには先頭に並ぶような動き出しを取ると、スタミナ型のシロカークやシュネルカガの浮上もある。馬券的には、2列目3列目の選択に頭を悩ませるレースである。
(文:競馬ブック・板垣祐介)
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