JRAは16日、25年度の顕彰馬に
イクイノックス(牡6歳)が選出されたと発表した。
記者投票で143票を獲得。選定基準となる投票者数(記者158人)の4分の3以上(119票以上)をクリアする90・5%の得票率となり、見事に殿堂入りを果たした。20年に選出された
キタサンブラックと、父子2代での顕彰馬選出は史上8組目。選考対象となった初年度での殿堂入りはディープインパクト、
ウオッカ、
オルフェーヴル、
ジェンティルドンナらに続く13頭目となった。
現役時代に管理した木村哲也調教師(52)=美浦=は「
イクイノックスが引退レースとなった
ジャパンCを制覇したことが、まだ記憶に新しいこのタイミングで選定いただきましたことは、彼が日本の競馬史に確かな足跡を残すことができた証しであると思っております。今後は
イクイノックスを管理させていただくなかで得られた経験を、その子どもたちをはじめとする次世代の若駒たちに注ぎ、多くのファンの皆さまに、一層喜んでいただくべく尽力して参る所存です」と感謝した。
生涯成績は10戦8勝、2着2回(うちG1・6勝を含む重賞7勝)。21年8月の新潟でデビューして、2戦目で東スポ杯2歳Sを制覇。翌年のクラシックでは皐月賞、ダービーとも2着に敗れたが、休養を挟んだ秋から快進撃が始まる。天皇賞・秋、有馬記念、ドバイシーマC、宝塚記念、天皇賞・秋、ジャパンカップと国内外で破竹のG1・6連勝を決めた。23年はIFHA(国際競馬総括機関連盟)発表の「ロンジン・ワールドベストレースホースランキング」で世界ランク1位に君臨し、2年連続でJRA賞年度代表馬に選ばれた。総獲得賞金は22億1544万6100円を記録した。
23年11月の引退後は北海道安平町の社台スタリオン
ステーションで種牡馬入り。種付け料2000万円はスタッドイン初年度の国内種牡馬としてはディープインパクト、
コントレイル(ともに初年度1200万円)を抜く歴代最高額で、大きな期待が寄せられる。交配相手の繁殖牝馬は
アーモンドアイ、
クロノジェネシス、
ソダシ、
リスグラシューといった日本馬だけではなく、海外から輸入繁殖牝馬も日本に渡るなど、まさにワールドクラスの評価を与えられたと言っていいだろう。産駒は次々と誕生していて、初年度産駒は27年にデビューを迎える。世界最強のまま引退した令和の怪物。その遺伝子を後世に継承していく。