夏の函館で躍動する一人の女性がいる。トレセン3年目の松原汀明(ちあき)助手(24)。既に4勝を挙げ、函館でリーディングトップを走る石坂厩舎を支える縁の下の力持ちだ。
普段からとても穏やかで、優しい笑顔が印象的な松原助手。ただ、馬の話になると、途端に“プロ”の顔に変わる。何気ない会話の言葉の節々に、馬への愛情や馬乗りに対してのひたむきな思いがあふれている。「ずっと厩舎にいられるくらい馬が好きですね。人の感情をぶつけないということを一番心掛けています」。繊細な馬の能力を最大限に引き出せるように、常に寄り添った目線で接している。
昨夏には
カルプスペルシュとともに、自身初の重賞挑戦となった函館2歳Sに参戦し、結果は5着。その後、しばらく足踏みしたが、先月22日に1勝クラスを突破し、今週昇級戦となるHTB杯に臨む。「1年前はすごく緊張していましたね。先輩もたくさんサポートしてくださり、スムーズに仕事ができるようになりました」。日々奮闘するなか、成長する自分を実感している。
「馬自身、めちゃくちゃ良くなっています。体がひと回り大きくなって、落ち着いていますし、いろいろな面で大人になっている」と、パートナーの顔を優しくなでる松原助手。レース当日も、笑顔で迎えられるような走りを祈っている。(デイリースポーツ・小田穂乃実)