19年のアイビスSDを制したライオンボス(19年7月撮影、ユーザー提供:MOCHAさん)
アイビスサマーダッシュ(3歳上・GIII・芝1000m)はJRA屈指の牝馬が強い重賞だ。過去24回で牝馬が17勝。20年の
ジョーカナチャンから24年の
モズメイメイまで目下5連勝している。そんな中、今回は直近の牡馬Vである19年をクローズアップ。「千直の王」の異名をとった
ライオンボスが、最初で最後の重賞制覇を果たした一戦を振り返る。
この年のアイビスSDには不動の主役がいた。後に「千直の王」と呼ばれる
ライオンボスである。初の直線競馬となった2走前の邁進特別で15番人気の低評価を覆し、5馬身差の圧勝。格上挑戦となった前走の韋駄天Sも制し、ここは05年のカルストンライトオ(1.8倍)に次いでレース史上2位となる、単勝オッズ1.9倍の高い支持を集めていた。
そしてレースも堂々たるものだった。11番枠から勢い良く飛び出すと、すかさず外ラチ沿いを確保。ここまでが鞍上・田辺裕信騎手の仕事の大半だったのかもしれない。そのまま気分良く逃げると、レース終盤でもうひと踏ん張り。序盤からマークするように食い下がっていた
カッパツハッチ、好位から脚を伸ばした
オールポッシブル、さらには後方から猛然と追い込んだ
トウショウピストなどの2着争いを尻目に先頭でゴール。着差は3/4馬身でも、相撲に例えると「寄り切り」に相当する、1番人気にふさわしいパフォーマンスだった。
ライオンボスはその後、当然のように千直中心のローテーションが組まれた。20年の韋駄天Sでは連覇を達成。アイビスSDでは20年、21年と2年連続で銀メダルに終わったものの、個性派の名馬として多くのファンの記憶に残り続けるに違いない。