17年のホープフルSを制したタイムフライヤー(撮影:下野雄規)
GI昇格後のホープフルSの勝ち馬として、ただ1頭だけ後にダート重賞を制しているのが
タイムフライヤーだ。紆余曲折の末、2年8カ月ぶりのタイトル獲得となった20年のエルムSを振り返る。
タイムフライヤーは父ハーツクライ、母タイムトラベリング、母の父ブライアンズタイムの血統。伯父のタイムパラドックスは04年のジャパンCダートを勝つなど、ダートで一時代を築いた名馬だった。2歳夏に栗東・松田国英厩舎からデビュー。萩Sを制し、京都2歳Sは
グレイルの2着。続くホープフルSでGI初挑戦初制覇を果たした。しかし、その後は勝利から見放される。クラシック三冠は10着、11着、6着。4歳夏からはダートに転じ、待望の白星を手にしたのは5歳時のマリーンSだった。実に2年4カ月ぶりのオープン特別参戦で勝利をつかみ取ると、連勝を目指して挑んだのがエルムSだった。
単勝3.0倍の1番人気に推された一戦、
タイムフライヤーは力強い走りを見せた。道中は中団を追走。勝負所で外目から進出すると、直線に向いたところで先頭へ。同じ勝負服の2番人気
ウェスタールンドに迫られたものの、最後はグイッと突き放して2馬身差の完勝。完全復活をアピールする2つ目のタイトル獲得を果たしたのだった。惜しくもこれが最後の勝利となったが、彼の競走馬生活を振り返る上で、非常に価値ある一戦となったことは間違いない。
あれから5年、今年のエルムSには22年のホープフルSを制した
ドゥラエレーデが参戦予定だ。
タイムフライヤー以来となるホープフルS覇者のダート重賞制覇となるか。その走りに注目したい。