7月31日、栗東市役所にて日本調教師会から書籍『馬のトレーナーのひみつ』と『馬のトレーナーという仕事』が市内の小中学校などに寄贈された。同書は「学研まんがでよくわかるシリーズ」で、競走馬がレースに出走するまでの過程や、調教師をはじめ調教助手や厩務員、獣医師、装蹄師、馬運車の運転手など競走馬に携わる様々な仕事を漫画で紹介。各タイトルで小学生向けと中学生向けの2種類に分けており、年齢に応じて具体的に仕事をイメージしやすい内容となっている。
受け取った竹村健栗東市長は「先日、北海道に行かせていただき、乗馬と競馬の距離が縮まってきているように感じます。栗東市としても栗東ホースパーク整備計画があり、JRAから支援金もいただきながら引退競走馬を活用したり、この書籍の趣旨同様、競馬
サークルに関わる方々の一助になればと思います」と“馬のまち栗東”としての展望を語った。
寄贈式に出席した日本調教師会関西本部の高橋義忠調教師は「世間では人材不足が深刻な社会問題となり、早急な対応が求められており、我々の競馬
サークルも例外ではありません。レースはテレビ等で広く知られていると思いますが、出走させるまでの仕事は、普段生活していてもなかなか知っていただく機会がありません。小中学生のお子さんや親御さんに知っていただきたく、制作しました」とコメント。
同会では
2018年より競馬界の人材確保プロジェクトに取り組んでおり、馬運車会社に協力を仰ぎ、全国各地を走行する馬運車に「厩舎スタッフ募集中」と車体広告を掲載したほか、今年度は高校や大学の馬術部で騎乗にまつわるお悩み相談会やトレセンでの仕事紹介を行っている。
「大学まで馬術を続けたけど、それを生業とするのは難しいと考えて一般企業に就職する人も多いと聞きます。まずはそういった人たちに競馬界で働くという選択肢を知っていただきたいです。また、馬の良さを分かっていただくためには、より若い世代に伝えた方がいいのでは、と思い、小中学生向け書籍の制作に至りました」
この漫画では馬や競馬に触れたことがなくても「動物が好き」「クラスの中で運動神経はいいけど、プロまでは……」といった思いを抱えた子どもにアプローチすることができる。
ところで、コアな競馬ファンが気になるのはこのイラストだろう。描いたのは田村正一氏。園田・姫路競馬の「ビギナーズガイド」も手掛け、その内容が強烈だ。主人公の“ネエちゃん”の彼氏・トシ君は、朝からス
ロットに興じ、歯がない。阪急
ブレーブスのキャップを被った“おっさん”は馬券が当たると大阪の繁華街・十三にタクシーで遊びに行く、といった具合だ。そんな漫画家と日本調教師会のまさかのコラボレーションなのだが、高橋調教師によると、ビギナーズガイドも読んだ上での依頼。
それによって出来上がった漫画は一体どんなストーリーになっているのか。気になる内容は、JRAのHPから読めるほか、小学校や中学校の図書館、児童館でも手に取ることができる。(取材・文:大恵陽子)