ミスターPINKが教官として再始動 「生徒たちの技術が上がっていく過程は面白い」内田利雄さんを直撃

2025年09月08日 19:00

指導者になってもミスターピンクは健在の内田利雄騎手(カメラ・松井中央)

「やっぱり愛されるジョッキーになってほしい。関係者、ファンに愛されてこそ」

 地方競馬の騎手を目指す候補生が日々、訓練に励む地方競馬教養センター。栃木県那須塩原市にあるこの施設に今春から新たな教官が加わった内田利雄さん(63)は、地方競馬通算3613勝を挙げ、桃色の勝負服からミスターPINKの愛称で親しまれた名ジョッキーだった。教官という新たな仕事に臨む元騎手に、候補生との接し方ややりがいなどを聞いた。(取材・構成=松井 中央)

 ジョッキー時代と変わらないピンクのいで立ちで真剣なまなざしを送る内田利雄教官。3月に46年半にも及ぶ騎手生活を引退。休む間もなく4月から教官に就任した。「最初は燃え尽き症候群のような感じになりましたが、減量がないので気が楽ですね」と現役時代と変わらず白い歯を見せる。

 指導で一番苦労していることに「『優しすぎると…』と言われて。時には厳しく指導するのもひとつの方法なんだけど、そのあたりのあんばいは難しいですね。教官一人一人の役割もあるので、そのあたりを考えながら」と模索する日々を送る。

 生徒との向き合い方については「基本技術は学校で教わっていきますが、それ以外のことは何でもトライしてみろと思います。自分で考えなければ成長できない」と自主性を重んじる。

 教官としてもうすぐ半年を迎えるが「生徒たちの技術が上がっていく過程は面白いですよね。競走実習をやる前は馬が引っかかって止まらないこともありましたが、今はそういうのがなくなり乗れるようになっていく」とやりがいを伝える。

 来年春には教官として携わった初の卒業生がデビューを迎える。「やっぱり愛されるジョッキーになってほしい。技術が良ければ乗せてもらえるけど、コミュニケーションが取れないと先にはつながらない。関係者、ファンに愛されてこそ」。熱いまなざしで愛情を注いだ生徒たちが羽ばたく姿が待ち遠しい。

◆内田 利雄(うちだ・としお)1961年10月5日、埼玉県出身。63歳。宇都宮競馬所属として78年10月に騎手デビュー。宇都宮競馬の廃止後は全国各地の地方競馬場や、マカオ、釜山など海外の競馬場でも騎乗。2012年4月から浦和競馬所属となり、地方競馬通算3613勝を挙げ、25年3月31日付で騎手を引退。4月1日付で参与(マイスター職)として、地方競馬教養センターで騎手候補生の指導に当たる。

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