前哨戦を制し凱旋門賞に挑んだ馬たち エルコンドルパサーの歴史的な名レース

2025年09月29日 08:00

エルコンドルパサー(98年NZT勝利時、撮影:下野雄規)

 今年こそ“日本競馬の悲願”なるか。アロヒアリイを皮切りにビザンチンドリームクロワデュノールと10月5日(日)に控える凱旋門賞(3歳上牡牝・仏G1・芝2400m)に向け、幸先の良い勝利が続いている。これまでも前哨戦を制して凱旋門賞に挑んだ日本馬は多くいた。週末に控える大舞台を前に彼らの蹄跡を振り返ってみたい。99年にサンクルー大賞、フォワ賞を勝ったエルコンドルパサーは、本番でも歴史に残る名勝負を演じた。

 同馬は父Kingmambo、母サドラーズギャル、母の父Sadler's Wellsという血統の米国産馬。97年11月に東京ダ1600mの新馬戦でデビューすると、9頭立ての最後方から直線だけで全馬をごぼう抜き。そのまま後続に7馬身差を付ける衝撃的な走りで、輝かしいキャリアは幕を開けた。年明けからはつぎつぎに白星を積み重ね、NHKマイルCまで無傷5連勝。サイレンススズカ、グラスワンダーなどが出走し、東京競馬場に約13万人が詰めかけた毎日王冠で初黒星を喫したが、続くジャパンCを快勝し、最優秀4歳牡馬に選ばれた。

 古馬となった99年は凱旋門賞を最大目標に定め、ヨーロッパに長期遠征を敢行する。初戦のイスパーン賞で2着と手ごたえをつかむと、続いてサンクルー大賞にエントリー。前年の全欧年度代表馬ドリームウェル(Dream Well)、前年の凱旋門賞馬サガミックス(Sagamix)など強豪相手に2馬身半差の完勝で仏G1タイトルを手にすると、現地でも注目度は急上昇した。その後は休養をとり、アークトライアルのフォワ賞に出走。イスパーン賞を勝ったクロコルージュ(Croco Rouge)、サンクルー大賞5着のボルジア(Borgia)と3頭立ての競馬となったが、落ち着いたレース運びで勝利した。フランス3戦で2着、1着、1着と文句なしの成績をひっさげ、夢の舞台に駒を進めた。

 迎えた凱旋門賞でも歴史的な名レースを繰り広げた。エルコンドルパサーは好発からハナに立ち、マイペースで馬群をけん引。直線に入っても手ごたえには余裕があり、後続をぐんぐん引き離していく。快挙や悲願、そんな二文字が思い浮かんだ瞬間、外から一気にモンジューが並び、かわし、先頭に立った。エルコンドルパサーも必死に抵抗し、差し返しにいったが、半馬身差は詰まることなくゴール。それでも3着以下には6馬身の大きな差を付けており、現地メディアからは「勝ち馬が2頭いた」と惜しみない賛辞を受けた。同レース限りで現役生活に幕を閉じたエルコンドルパサー。最後の激戦は今もなお、語り草となっている。

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